162＿ 受け入れられない春 ページ15
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流星side
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「なーなーりゅーせー。おーい。りゅーせーってばー」
開け放った窓から吹き込んでくる風はすっかり春のもので、
机に突っ伏している俺の背中を優しく撫でる。
それすらも、何だか痛かった。
俺は今も、春が始まったことを受け入れられないままでいる。
彼女と会えないまま、始まった春を。
「なあなあ！いつまで寝てるん！弁当食おうや！」
そんな俺の肩をしつこく揺さぶるしげの声に渋々顔を上げる。
「うわっ、流星何やその顔！」
「人の顔見て何やって失礼すぎん？
てか何でまた同じクラスやねん」
「やってクマやばいで？！
ほんまは俺と同じクラスで嬉しいくせにい〜」
横腹をちょいちょいとつついてくるしげに、
今は抵抗する気力もない。
弁当も出さずに、目を擦りながらスマホを見ようとすると、
しげが突如奇声を上げて思い切り立ち上がる。
「何やねん、うるさいなあ」
「俺、とんでもないこと思い出してもうた！」
「何？」
そう聞くと、真面目な顔をして座り、
俺の隣に椅子ごとズルズル移動してくるしげ。
「流星、何かあったんやろ、先週。
そう言えば四月一日やったよな」
しげはこういう人だ。
無神経なように見えてほんまは優しくて、
鈍感なように見えて何でもすぐに気が付く。
だから、どんなにだる絡みをされても俺の一番の男友達なのだ。
「記憶力ええな」
「やって俺も密かにソワソワしとったもん。
で、その時なんかあったから新学期早々そんな辛気臭い顔しとるんやろ？」
さっきまでの気遣いは何処へやら。
いきなり辛気臭いとか言ってくるしげに呆れつつも、
自分の中だけで留めておくにはあまりにしんどかった気持ちを、
ようやく吐き出した。
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みなみ(プロフ) - てたたけさん» コメントありがとうございます☺︎そのお言葉がすごく励みになります！まだ長くなりそうですが、なるべく毎日更新で頑張るのでこれからも応援よろしくお願いします！ (5月22日 10時) (
レス) id: b2af61b783 (このIDを非表示/違反報告)
てたたけ(プロフ) - コメント失礼します！いつも続きが気になって楽しみにしてます！更新頑張ってください！！ (5月21日 21時) (レス) id: d26d38b11f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年5月16日 15時
