記憶が無くても貴方は‥ ページ3
今、何と言った?
Aのこんなあどけない表情は見たことがなく、降谷は動揺と困惑から一瞬喉を詰まらせるが、ゆっくりとAに歩み寄った
『A‥、俺が分からないのか?』
『‥うん、初めて会ったと思います‥』
『!?』
嘘を付いているような目ではない、A自身少し戸惑いの色を映した瞳で、降谷を見上げ首を傾げる姿に、ある可能性しか浮かばない
『直ぐに医者を呼ぶ、だから心配はいらないよ。』
『‥ありがとう、お兄さん』
『‥僕は‥安室透です。』
『安室さん?』
『ええ、貴方が目を覚ましてくれて良かった。』
本名を名乗りたいが、今後ジンやベルモットと接触をした時を考えると名乗れない。
Aに降谷と名乗れない自分自身に歯がゆさを抱きながら、Aに微笑みかけると、Aもまた笑ってくれた。
Aの、こんな花を咲かせたような笑顔を見たのは初めてだった。
その後、医師により様々な検査を執り行っている間に、安室はベルモットへ連絡を入れると直ぐに病室へ駆けつけて来た。
『バーボン、マティーニが記憶を失ったと言う事は本当なの?』
『シッ、ー‥彼女は自分が組織の人間だと言うことを覚えていません、なので僕の事は安室とお呼び下さい』
『‥分かったわ』
安室が小声で注意を諭すすぐ近くのベッドに座り、Aは外の景色を眺めていて、ベルモットはその様子に目を見開いた。
『‥A、体調はどう?』
『‥大丈夫、どこも痛くないですよお姉さん』
『私はベルモットよ、貴方が目を覚まして本当に良かった。』
『ベルモットさん?心配をしてくれてありがとう。』
『‥‥』
こんなに素直な反応を見せるAは初めてで、ベルモットもまた驚きが顔に出ていると、安室が説明をしてくれた。
Aの記憶は12歳で止まってしまっている事、その年齢迄に出会い記憶している知識以外は記憶を失い覚えていないのだと聞いたベルモットは、Aを前に立ち尽くした。
『なら本当に全て‥』
『忘れています、何もかも』
組織の記憶は16歳からとなる、無論覚えている筈もなく安室は目を伏せたが、ベルモットはAの手にそっと手を添え微笑んだ
『A、不安でしょうけど大丈夫‥貴方は一人ではないから。心配いらないわ。』
『ベルモットさん‥』
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琴美と蒼(プロフ) - みぃちゃん,mさん» とても嬉しいコメントありがとうございます(^_^)番外編も今後書かせて頂きます♪ほのぼの系も好きなので、赤井さんとの馴れ初めも書かせて頂けたらと思います、厳しい評価も頂いておりますので、少し更新を見直しますが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。 (2018年1月10日 23時) (レス) id: d4f003a9c9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - 続編おめでとうございます!!今日から見始め、私の大好きなキャラ視点が多く、とても嬉しいです!もし番外編を書く機会があれば、赤井さんと夢主ちゃんが初めて会ったお話、2人のほのぼの等を書いてくれませんか?出来れば赤井さん視点で!これからも応援してます!! (2018年1月10日 22時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琴美と蒼 | 作成日時:2018年1月10日 5時