[名探偵コナン]知られざる素顔2

切り札 ページ7

目の前で幸せそうにアイスを頬張るAは実年齢より幼く見えるのに、普段男装している時は常に気を張り笑顔は見せないAに、降谷は複雑な心境でいた。


本来ならば、無邪気に友人たちと遊び勉強や恋に焦がれる年頃だ、そんな彼女をこうも変えてしまう原因は、“ジン”で間違いない。


恐らく、彼女が女性である事を知る人間は自分以外にジンとベルモット、そして組織の一部の幹部だけなのだろう。
彼女の変装術と演技力があってこそ成り立つ男装だが、そもそもジンの今迄の行動には不可解な事が多かった。


“まるで、彼女を見守っているような”


任務内容からしてもそれは伺えた
組織では殺しや麻薬、貴金属強奪等数えれば山のように悪どい闇が蠢き、その殆どは幹部が指揮する内容が多い、だが彼女に関しては違っていた、コードネームを持ちキャンティやコルンと並びジンの下に付く事はあっても今迄一度たりとも一人での任務はない、それはアメリカにいた時も例外ではなく常に二人は彼女のバックに控えるメンバーがいたと聞く。


見張りの為か？
それにしては、今回日本に帰国してからは彼女の周りに組織の人間の影は見なくなった、無論それは彼女も気づいているからこそ、実家に帰り外でも口調が崩れる瞬間があったのだろう。


『A、君とジンは何かあるのか？』
『！？‥質問の意図が分からないのだけど』
『君も気付いているだろ？今迄ずっと組織の人間が常に君を見張っていた事を、それは君が組織に入った二年前からつい最近迄続いていた、違うか？』
『‥気付いていたんだね、流石は組織随一の洞察力の持ち主ね、バーボン』
『やはり、気付いていながら知らぬ不利を？』
『うん、と言っても止めてと言って止めてくれる男ではないでしょ、ジンは』
『ー‥ジンは、君に特別な感情があるのだろうか』
『そんな事はあり得ない、憎しみや恨みはあってもあの男が私に対し何かを求めた事は一度もないもの』


そう、赤井を押さえる切り札
私はそれだけの価値、逆に言えばこの真実はジンと同じ目的であろう、バーボンには気付かれてはいけないのも理解している。


バーボンが赤井を恨む理由は分からないけど、普段冷静沈着な彼が赤井の名を聞いただけで心乱す様子から、私の知らない深い因縁があるのだろう。


『降谷さん、今は何も話すことが出来ないけれど、降谷さんにはいつかきちんと話したいと思ってるよ』

二人の気持ち→←お兄ちゃんのような‥

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