【HQ×マギ】初夏の青葉と常夏の雪 (ページ10)

今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:31,952 hit

08...暗黒ページ10

｢で、彼らはどうしたんだい？｣

僕は彼らと出会った経緯を軽く語り、それぞれの名前を伝えた。

｢ふむ。異世界から、ね……それで、その異常の象徴というのはどういうことだい？｣
｢それぞれのセカイは普通は交わることはないはずなのに、彼らはここにやってきた……それは、このセカイのどこかに、穴(・)があるということなんです｣
｢穴、というと？｣
｢そうだな……この世界で言うなら、そう｣

暗黒点

その言葉に、シンさんとジャーファルさん、ヤムは一斉に険しい表情になった。
要領を得ない様子の4人を横目に僕は話を進める。

｢確かにアル・サーメンの脅威は去った。彼らは滅んだ。けれど、このセカイの『闇』は彼らだけじゃないからね。どこかにある歪みのせいで彼らはこっちに引っ張りこまれた｣
｢では、その暗黒点は一体どこに……｣

ジャーファルさんの問いに、僕は首を傾げるしかない。

｢それは僕にも分からないんです。ただ、手掛かりはひとつだけ。彼らを元の世界に帰すことです｣
｢それが一体どんな風に手掛かりになるの？｣
｢彼らを元の世界に帰すためは、『転界のカケラ』を使うんです。それを使ってその暗黒点を無理矢理彼らの世界に繋げるんですが、おそらくそのカケラを見つけたら自ずと暗黒点の場所も見えるだろうと｣

ふむ、と椅子に座ったシンさんが顎に手を当てる。

｢とどのつまり、彼らを元いた世界に帰せばいいのか｣
｢まあ、そういうことですね｣

僕は頷き4人を見る。

｢ただ、それ相応の準備は必要です。見たところ彼らは戦などとは縁のない世界の生まれのようですし｣

しばらく何かを考えていた様子のシンさんは、不意に立ち上がった。

｢話は分かった。彼らを食客として迎え、4人部屋の客室で休息を取ってもらえ。A、その調子だと彼らにはろくに事情を話していないんだろう。部屋に同行して詳しく話せ。彼らの教育(・・)についてはこれから会議を開く。八人将を呼べ｣

突然の事態だというのに冷静な判断。
その目は普段よりいきいきしているように見える。

僕の印象は間違っていなかったようだ。