【HQ×マギ】初夏の青葉と常夏の雪 (ページ19)

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16...酔訪ページ19

｢なんか、慣れてきたっつー感じだな｣

修行終わりの部屋で、日課になっていたストレッチをしながら岩ちゃんが呟いた。
それぞれ別々に指導を受けているから、4人が揃うのは寝る前の少しの時間だけだ。その時間だって金田一なんかは、師匠に夜の街に連れていかれたりするので全員揃わない時もある。

今日は師匠組で呑みに行ったということで、全員いる。

｢マスルールさん、バケモンみたいな速さと力だけど、全くついていけねえわけじゃないんだよなあ｣

岩ちゃんの師匠は確か、伝説の戦闘民族の末裔だったはず。

｢あっちにいた頃じゃ絶対無理なのにな｣
｢あ、それ分かります。俺なんか剣なんて振ったこととか全くないのに、なんか体が勝手に動くんすよ｣

そう言う金田一は、贈られた大剣を丁寧に磨いている。
肌見放さず持て、剣と仲良くなれ、というのは師匠からのお達しらしい。

｢俺に至っては魔法使えますしね｣
｢だな｣
｢こっちに来たことで、俺達の体も適応するように変化したのかもねー｣

みんな着実に力をつけてきている。
異常な成長スピードは、早く元の世界に、帰りたいという一心からも来ているのだろう。

｢そうそう、及川さんは何習ってるんスか？｣
｢俺？今は専ら書庫籠りだね。ジャーファルさんから色々教えてもらってる｣
｢え、それだけなのか？｣
｢うん。あとは座禅？とか精神系がほとんどかなあ｣

俺だけ3人のような直接の戦闘能力を学んでいない。何故だろうかと思ってないことはないけど、向こうにも考えがあるんだろうと特に訊いたりはしていない。

｢いつ出発するんスかね｣
｢さあな。でも、そこまで遠くはない気はする｣
｢暗黒点？とかなんかのカケラを探さなくちゃいけないんでしょう。そこまでのんびり教える気はないんじゃないですかね｣
｢そうだね。まあ、｣

そこまで言ったとき、満月が照らしこむ開け放した窓に人影がさした。

｢やっほぉ｣

ひょいと部屋に入ってきたのはAだった。