【HQ×マギ】初夏の青葉と常夏の雪 (ページ1)

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00...邂逅ページ1

セカイとは、無数に存在する。

真っ暗闇に浮かぶ儚い泡のように、お互い隣合わせにいながら、いつ壊れるかもわからないそれの中で生きる者達は、安寧と崩壊の狭間にいることを知らぬまま、今ここに生きていることをを当然のように享受する。

愚かだが、無理もない。

何においてもそうなのだ。
失われかけた時、あるいは失った時に初めてその価値に気づく。

僕は今、一度壊れかけたセカイにいる。

青い空には燦然と輝く太陽があり、豊かな緑と人々の喧騒で賑わうこのセカイが、ほんのつい最近まで枯れ果てた大地の広がる、地獄を絵にしたようなところだとは思えない。

このセカイを壊そうとした、暗闇を彷徨う諸悪を断ち切ることができ、今は元の平和な頃に戻ろうとしている。

僕がいるのは、諸悪を懲罰した幾人かの英雄の一人が治める島国。冬を知らない常夏の国だ。

ある日、いつもの日常となるはずだった日のことだ。

未開発区のお気に入りの場所で、うつらうつらとうたた寝をしていた。

ふと、脳裏にぴりりと刺激が走った。
特別痛いわけではなく、痒いところを掻いたときような刺激だ。

なんだろうかと薄目を開けた次の瞬間。

どさっ

なにか大きなものが目の前に落ちる音がよっつ。

人だった。

見たことのない素材の変わった服に身を包んだ、二十歳にも満たない青年たちだ。

｢いったあぁ……なに、いきなり｣

ふわふわした茶色の髪の、綺麗な顔立ちに、

｢ってえな、くそ…………んあ？｣

鋭い目つきの、黒髪つんつん。

｢…………ここ、どこですか｣

白目がちな目と、逆立った髪。

｢……………あんた、誰？｣

そして眠そうな目で機嫌悪そうなのが僕を見上げる。

セカイは、無数に存在する。

その無数の中の2つが触れ合い、偶然という名の必然で、僕らは出会った。