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出会い ページ32

「…いてぇ」
 小さく言葉をこぼした。
 腕から滴る赤を押さえながら、のろのろと廊下を歩く。
 赤を床に垂らせば、また汚したと上層から怒られるのだろう。
「くそ…っ」
 痛みと流れる赤に思考を奪われ、壁に頭を擦り付ける。
 ずるずると壁に寄りかかりながら座り込んでいれば、聞き覚えのない声が聞こえてきた。
「ちょっと、あなた大丈夫なの?」
「…あんた…だれ…」
「私の事はいいのよ! 手当させて」
 慌てた様子で、手を伸ばしてくる女性。
 赤の髪は肩より少し長いくらい。真紅の眼が、自身を見ていた。
「っ、…触んな…!」
 伸ばされた手を弾き、ずるずると重い足を引きずるようにしながらずり下がる。
 女性はやや眉をよせて、強引に怪我をしている腕をとった。
「つべこべ言ってる場合じゃないでしょう! 早く見せなさい」
「……っ」
 むりやり腕を取られ、止血剤と包帯をまかれる。
 手早いながら、適切な処置にぐうの音も出ず、口をつぐんだ。
「…はい。これで大丈夫よ。…あなたは、もしかして…強化兵、かしら…?」
「……兵だけど、ちがう……」
 気まずく言葉を返すが、女性はパッと笑みを浮かべ、髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜてくる。
「ちょっと…やめろよ…」
「あら、だめよ、そんな言葉遣いしてちゃ。もっと大人びた話し方しなきゃ」
「…うるせぇよ…。あんたには関係ねぇだろ」
 溜息を吐きながらそう言えば、女性はふに、と鼻をつまんできた。
「っちょ、やめろって…!」
「意地を張るのもいい加減にしなさい。…ちょっと安静にした方がいいわね。来なさい」
 半分引きずられるように連れられ、妙な機械がそびえ立つ部屋を通り、書斎へと入る。
 部屋の中にいた男性が女性を見て笑みを浮かべ、そして隣に立つおれを見て驚く。
「その子は…西軍兵かい」
「えぇ。ついさっき会ったのよ。怪我をしていたから手当したんだけど…もう少し安静にさせた方がいいわよね?」
 頷いた男性に近づいていく女性をちゃんと見なおして、おれはようやく気づいた。

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 ここから過去編です
 色々出ます。4人(1人、正確には2人の年齢操作以外)は出てきません。

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長閑(プロフ) - 春夏秋冬あさよさん» コメントありがとうございます!これからも頑張っていこうと思います!読んでくださってありがとうございました! (2015年4月20日 18時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
春夏秋冬あさよ(プロフ) - 完結お疲れ様です!長閑さんの軍パロ本当におもしろいです!戦闘シーン最高です!次作も楽しみにしています! (2015年4月19日 22時) (レス) id: d742c0fb58 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 自分の下手さのせいで展開がうまくいかない部分もありましたが、楽しんでいただけたようで何よりでございます!読んでくださってありがとうございました! (2015年4月5日 18時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
液体プリン - 完結しましたね、おめでとうございます!読んでいて面白かったし、時々出てくるあろまのデレも見れて、すごく楽しませていただきました!お疲れ様でした! (2015年4月5日 11時) (レス) id: 9ef6538fc5 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 読んでいただきありがとうございます。更新頑張ります。最後までよろしくお願いします! (2015年3月19日 15時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2015年3月18日 16時

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