墓標 ページ31
「レイフォード！」
「……あぁ、あろま」
けろりとした顔でそこに立つレイフォードに、あろまは放ちたかった怒声を堪え、盛大に息を吐き出した。
「なんで、急に…」
「すまない。だが、どうしてもここへ来なければならなかったんだ」
「…墓…か？ それは」
レイフォードの足元にある、墓というにはあまりに粗雑で陳腐な場所。
あろまは眉をよせ、小さく屈んだ。
「…あんたの戦友か？」
「いいや…。ある種、戦友より思い入れのある人だ」
小さな墓標に触れるレイフォードの手つきは、柔らかいもので。
表情は、どこか悲痛そうに歪められていた。
「…博士と、助手のものだ」
その言葉に、あろまは息を呑んだ。
あの日の出来事は覚えている。
だが、両親を目の前で失った後は、眼を覚ませばレイフォードが目の前にいた。
その空白の事なのだろうか。
「あぁ、そうだよ。…キミを気絶させて、ここに埋葬して。刀を携え、自分はキミの目の前に姿を現した。……変わらない、事実だ」
「じゃあ…あの男が言ってた…レイフォードがおれの親の敵だって言う事は…」
「……すべて、真実だよ」
至極あっさりと。レイフォードは重々しい口調でそう言い切った。
あろまは墓標に染み付いた赤に気づき、触れる。
「…それは自分のものだ。…あの日、ここに誓ったんだ。今度こそ、守ると」
「……今度こそ、って……」
あろまが問い返せば、レイフォードはそうだね、と言う。
「キミには、言っておかなければならないか。……言い訳だと、思ってくれて構わない。今更だと、苦しい戯言だと思ってくれて構わない。…ただ、聞いてくれないか」
そう言いながら、レイフォードが墓標の前で口を開く。
ただ、淡々と。ただ、事実を。
彼が口にする事実に、あろまの奥で閉ざされていた記憶が、呼び起こされた。
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長閑(プロフ) - 春夏秋冬あさよさん» コメントありがとうございます！これからも頑張っていこうと思います！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月20日 18時) (
レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
春夏秋冬あさよ(プロフ) - 完結お疲れ様です！長閑さんの軍パロ本当におもしろいです！戦闘シーン最高です！次作も楽しみにしています！ (2015年4月19日 22時) (レス) id: d742c0fb58 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 自分の下手さのせいで展開がうまくいかない部分もありましたが、楽しんでいただけたようで何よりでございます！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月5日 18時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
液体プリン - 完結しましたね、おめでとうございます！読んでいて面白かったし、時々出てくるあろまのデレも見れて、すごく楽しませていただきました！お疲れ様でした！ (2015年4月5日 11時) (レス) id: 9ef6538fc5 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 読んでいただきありがとうございます。更新頑張ります。最後までよろしくお願いします！ (2015年3月19日 15時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2015年3月18日 16時
