過去 幼さと強がりな心は ページ27
おれはいま、暗くて狭い場所にいる。
どうしてか、と言われれば落ちた、の一言に限る。
「…いってぇ」
足首がずきずきする。
おそらく、この穴に落ちた時に捻ったのだろう。
落ちたのは、自分のせいだが。
こうなったのはあの飄々として掴み所のない保護者のせいだ、とおれは悪態を吐いた。
事の発端は、あの保護者と話していた事。
武器を持たせてくれない。「未熟だ」と言って基礎しかさせてくれない。
戦いたいといえば、それをだめだと言う。いいや、それではだめだと言う。
何がだと問えば、「それでは死ぬから」と彼は言う。
ならと言って飛び出して、こうなった訳だ。
まったく笑いものもいい所だ。
「…どうせ、来てくれなんてしない」
あの人のことだから。どうせ、同情で助けたんだろう。
ただ子供扱いして、内心ではおれの事を見下しているんだ。
「…なんだよ、ちくしょう」
思わず、そう口をついて出た。
どうせその程度の人だったのだろう。
上方が暗くなってきた。もう夜か。
肌寒さが増す中で、おれは１人肩を抱く。
(寒い)
あぁ、このまま終わるのかな、なんて思っていた時だった。
「…やっと見つけた、あろま」
「レイフォード…？ なんで」
「話は後だよ。いまロープを垂らすから、上がっておいで」
普段通り、冷静な声。
せっかくきてくれたなら、もっと真剣味をもって言ってくれてもいいだろうに。
そう思ったもの、言うには自分のプライドが許さなかった。
ロープを伝って上がり、夜のスラム街の土を踏む。
足首を庇うおれに、レイは眉根を寄せる。
「まぁ…無事でよかったよ」
「…おう」
「帰ろうか、あろま」
手を伸ばされ、そっとその手を掴む。
そこで、ようやく気づいた。
(手、冷たい)
おれより冷たいんじゃないのか。
見れば、いつもは綺麗に整えられている髪や服も乱れている。
あちこちに砂埃や葉をつけているのだ。
いつものレイフォードらしくない。
「…レイ…あの…心配かけて…ごめん」
「…よく出来ました。怒ってないよ」
くしゃりと髪を掻き混ぜられた。
やんわりと笑っておれを見るレイは、本当に気にしていないようだ。
だからといって、レイが心配した事実は変わらないし、そしておれがレイを信頼できていないと言う事実も変わらない。
「…だって、どうせ」
「あろま？ …どうかしたかい」
「なんでも、ない」
そう、と呟いて、彼は微笑んだ。
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長閑(プロフ) - 春夏秋冬あさよさん» コメントありがとうございます！これからも頑張っていこうと思います！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月20日 18時) (
レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
春夏秋冬あさよ(プロフ) - 完結お疲れ様です！長閑さんの軍パロ本当におもしろいです！戦闘シーン最高です！次作も楽しみにしています！ (2015年4月19日 22時) (レス) id: d742c0fb58 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 自分の下手さのせいで展開がうまくいかない部分もありましたが、楽しんでいただけたようで何よりでございます！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月5日 18時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
液体プリン - 完結しましたね、おめでとうございます！読んでいて面白かったし、時々出てくるあろまのデレも見れて、すごく楽しませていただきました！お疲れ様でした！ (2015年4月5日 11時) (レス) id: 9ef6538fc5 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 読んでいただきありがとうございます。更新頑張ります。最後までよろしくお願いします！ (2015年3月19日 15時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2015年3月18日 16時
