既視感 ページ23
「あんたなにしてんだべ」
隅の壁を漁るレイフォードの背にそう問いかけたが、レイフォードから返事はない。
軽く息を吐き、＜サイレント＞へ視線を向け無いようにしながら、あろまは部屋を見渡した。
(……あれ)
どこか、見覚えがある気がした。
小さな頃に、見たことがある気がしたのだ。
(でも、ここの博士と助手がおれの両親なんだから、見覚えあってもおかしくは、ない)
だが、どこか違和感がある。
部屋の状況は確かに覚えがあるが、一番覚えのあるものは違う。
じゃあなんなのか。そう考えていれば、唐突に壁に穴が開いた。
「って…なんだ、そこ」
「博士と助手が秘密裏に作っていた、書斎だよ。自分もよくここに来てた」
そう言いながら、振り向いたレイフォード。
書斎を背景にしたその姿に、あろまは一瞬息を詰まらせる。
「…あろま？ 大丈夫かい」
「あ、あぁ。悪ぃ、レイ…」
部屋に入り、何やら本棚を物色し始めたレイフォードに対し、あろまは部屋をぐるりと見渡す。
やはり、見たことがある。
(この部屋、やっぱり…)
何度も来ていたはずだ。
幼いころの記憶は、正直に言えばあまりない。
１７年前の記憶を最後に、それ以上前の記憶を思い出すことが出来ないのだ。
ふと、視線を隣にあった机に向けた。
「……？」
机上には、古ぼけた１枚の紙が置かれている。
丁寧に折りたたまれた小さな紙。端ににじむインク。
(…これ)
「あった」
レイフォードの声に肩を震わせ、あろまはレイフォードを見た。
その手にはレポート用紙を乱雑にまとめた様な束が握られていて、晒されたままの義眼と鈍色の眼が細められていた。
「…そうだ、博士はおれに教えてくれてた」
「レイ？ 何かわかったのか？」
「…あぁ、うん。あろま、刀をくれるかい」
束を机上に置き、あろまから受け取った刀を手にレイフォードは＜サイレント＞の方へ足を進めた。
「…どうするんだ？」
「んー…、この辺りかな」
レイフォードは機械の下部をがさがさとあさり、何かを探す。
唐草模様と流線の混ざった独特の紋様のレイフォードの刀に、一体どんな意味があるというのか、あろまには検討もつかない。
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長閑(プロフ) - 春夏秋冬あさよさん» コメントありがとうございます！これからも頑張っていこうと思います！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月20日 18時) (
レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
春夏秋冬あさよ(プロフ) - 完結お疲れ様です！長閑さんの軍パロ本当におもしろいです！戦闘シーン最高です！次作も楽しみにしています！ (2015年4月19日 22時) (レス) id: d742c0fb58 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 自分の下手さのせいで展開がうまくいかない部分もありましたが、楽しんでいただけたようで何よりでございます！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月5日 18時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
液体プリン - 完結しましたね、おめでとうございます！読んでいて面白かったし、時々出てくるあろまのデレも見れて、すごく楽しませていただきました！お疲れ様でした！ (2015年4月5日 11時) (レス) id: 9ef6538fc5 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 読んでいただきありがとうございます。更新頑張ります。最後までよろしくお願いします！ (2015年3月19日 15時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2015年3月18日 16時
