戸惑い ページ13
影になったまま、黒は静かに部屋に踏み入った。
男は口角をあげ、黒を見る。
「ようやく現れたか、＜トゥリトール＞。その性は変わっていないようだな」
「…るせぇべ。黙ってろや、クズ上司が」
白銀が翻った。踏み込み、白の斬線が閃く。男はすんでで躱し、奥へ下がった。
黒はふぶを掴んで後ろへ下げると、後ろから来た緑へ渡す。
刀はすでに鞘へ戻っている。ホルスターの銃へ手が伸び、掴み出す。
他兵が動き出す前に、引き金を引く。銃弾は命中し、次々と床に倒れていく。
「…二度と。おれを＜トゥリトール＞と呼ぶな」
鈍色の眼光が男を突き刺した。
引きつったような笑みを浮かべながら裏手へ男が回る。
「逃げる…！」
「……追う必要はないね。早く連れて脱出するよ」
ふぶの言葉に、黒、レイフォードは冷静に言葉を返した。
それを意外にとったのか、えおえおがきょとんとした表情でレイフォードを見る。
その視線に気づき、レイフォードはやや苦笑を浮かべた。
「…さすがに、あの呼び方にいらっとしたからって目的忘れたりしないよ」
体勢を低くしたまま、レイフォードはえおえおにふぶを頼み、あろまの方へ歩み寄る。
「大丈夫かい、あろま」
「…レイフォード…」
あろまの少し引きつったような表情に、レイフォードは悲痛に眉をよせた。
髪に手をのばそうとしてそれをやめ、拘束を刀で外す。
「っ…、レイフォード…！」
「行くよ。のんびりもしていられないからね」
レイフォードが顔をそむけ、えおえおの方へ戻っていく。
のばそうとした手を引っ込めて、あろまは表情を引き締めた。
「…そうだ、これは返すよ」
そう言って、レイフォードが鞘に収めた刀をあろまに差し出す。
一瞬、それを受け取る事にあろまは躊躇う。だが、それを掴み、受け取った。
いつも以上に、刀が重く感じた。まるで、あの時の打刀を持っている様な気分だ。
「…あろま、行くよ」
「え、あ…」
「どうか、したのかい」
あろまの戸惑った様子に、レイフォードが表情を屈んで見る。
「な、何でもねぇべ」
「…そうかい？ じゃあ、行くよ」
レイフォードとえおえおでサポートをしながら、廊下を走りだした。
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長閑(プロフ) - 春夏秋冬あさよさん» コメントありがとうございます！これからも頑張っていこうと思います！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月20日 18時) (
レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
春夏秋冬あさよ(プロフ) - 完結お疲れ様です！長閑さんの軍パロ本当におもしろいです！戦闘シーン最高です！次作も楽しみにしています！ (2015年4月19日 22時) (レス) id: d742c0fb58 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 自分の下手さのせいで展開がうまくいかない部分もありましたが、楽しんでいただけたようで何よりでございます！読んでくださってありがとうございました！ (2015年4月5日 18時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
液体プリン - 完結しましたね、おめでとうございます！読んでいて面白かったし、時々出てくるあろまのデレも見れて、すごく楽しませていただきました！お疲れ様でした！ (2015年4月5日 11時) (レス) id: 9ef6538fc5 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 液体プリンさん» 読んでいただきありがとうございます。更新頑張ります。最後までよろしくお願いします！ (2015年3月19日 15時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2015年3月18日 16時
