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「ナノ、大丈夫?」
「……え? あ、はい…。それより、用事って…」
「え、あ……、…あれ、口実です…」
ふぶさんが控えめに俺を見た。
俺はそうですか、と小さく返し、気まずく口を開いた。
「…あの…変な所見せて、すみません」
「……あの人達、ナノの事いじめてるの?」
「…まぁ、世間一般的に言うならおそらくそうだと思います」
「それ、きっくん達は…」
「知ってます。…ただ、俺が大事にしたくなくて…」
俺が顔を軽く伏せて答えれば、彼はぎゅっと拳を握っていた。
「なんで、あんな事…」
「気に入らないんでしょう、俺がmsspだって事が」
「どうして…」
俺は簡単に事を話した。
msspは東軍では英雄のような存在だという事。
自分が西軍兵で、強化兵だという事。
特例で入った事を、よく思わない人間がいる事。
「…そんな、ナノは悪くないのに…」
「そんなものでしょう、嫉妬なんて。ただの僻みですよ。放っておくしかない」
「…でも、えおえお隊長だって西軍兵じゃなかったの?」
「えおさんはちゃんと東軍の中を正規ルートで上がりましたから。文句を言われる筋合いはないんですよ。…俺はただ、知り合いだった事でえおさんの推薦と、きっくんから気に入られたという理由でmsspに入りましたから」
言えば、七光り。コネを使ったようなものなのだから。
俺が冷めた声でそういえば、ふぶさんは、きっ、と表情をきつくした。
「なんでそう言う言い方するの、ナノは! …初めはそうだったのかもしれないけど、俺は演習に一緒に出て知ってる。msspに入る実力は本物なんだ、って!」
「…それはふぶさんだからですよ。……前回の戦場は、元々それが目的だったんです」
事の始まりは簡単で、俺の身に起きている事をきっくんやえおさん、あろまさんに知られた。
だから、これを緩和する為に、「実力を見せつける」理由で一般部隊との共同戦線がしかれた。
だが、結果として実力を見せつけるには至ったものの、実力差があり過ぎた事で甚大な被害が及ぼされた。
だがそれでも、あぁいった連中はいるのだ。
「…それでも、悪いのはナノじゃない。ナノの実力は本物だから」
「いいですよ、別に。本物だろうと偽物だろうと。興味ないです」
「俺は、嫌だ…!」
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長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時