検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:39,173 hit

ページ13

「っふ、く、たいちょおー!」
「な…っ、えふ、」
 青…FBの手が俺に伸びる。思わず、それに手を伸ばした。
 重力に従い下降する俺を追いかけて、FBが跳ぶ。
 手を握ろうとして…しかし届かない。
 俺の身体は、地面へ向かって下降していく。
「……ッ」
「副、隊長…っ!」
 FBが腰につけていたワイヤを飛ばし、屋上に引っ掛けた。
 足を建物の壁面につけ、スナイパーライフルを構える。
 俺に狙いはわからない。
 だが、FBの視線は一瞬下を見、向かいに向けられ、銃口は俺を越えて向かいに向けられた。
 銃弾が頬を掠めるように直線を描き、何かにあたる。
 背後から何かが吹き出す音がして、俺の背は吹き出したもの…水にあたった。
 俺の落ちた先には元々貯水池があったようで、軽く大人一人が沈む深さがあった。
 一旦沈み、上昇。水面に顔を出す。
 視線を向ければ、FBが撃ち抜いたのは貯水槽。
 衝撃で吹き出した水は、水量の足りなかったこの貯水池に流れ込み、それに俺は受け止められたようだ。
「副隊長、大丈夫ですか?」
「…なんとか、へいきです」
 ワイヤで地面へ降りてきたFBに視線を向け直し、俺は頷いた。
「良かった…。副隊長掴まってください」
 心底安心したと言う顔で、FBは息を吐きながら俺に手を差し出す。
「…あ、りがとうございます…」
「どういたしまして! …急ぎましょ、副隊長」
 そういえば時間忘れてた。
 殲滅は済んだ。えおさんと合流するのが先決だろう。
「……すみません、急ぎましょう」
 FBと並び走りだす。指定地まではもう少し。俺は隣を走るFBをちらと見た。
「…副隊長? どこか痛いですか」
「え? あ、いえ…大丈夫です」
「じゃあ?」
 俺は軽く視線を逸らし、頭を振る。
「……副隊長がいいなら、いいでしょけど…」
「いいでしょけど?」
「い、いいですけどww」
 照れたように笑うFBを尻目に見、俺はほんの少し頬を緩ませた。
『シィナノルト、FB、無事?』
「…へいきです、えおさん、もう少しで到達します」
 跳躍し、目の前に現れた瓦礫を避ける。
 FBと並んで着地、電子音が鳴り響いた。
≪全員の到達を確認。演習終了≫
「お疲れ。大丈夫? 2人共」
「大丈夫です、ありがとうございます」
「ピンピンしてますよ隊長!」
 隣で満面の笑みを浮かべ、拳を握るFBに、俺はやんわり笑みをこぼした。

 ミッションコンプリート。

俺と新参兵と、小隊 1→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
設定タグ:MSSP , 男主 , 軍パロ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。