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俺と新参兵、事情 1 ページ20

いまさらか、とは思ったが、まぁきっくんから言われればやらずにはいられない。
 というか、何すればいいんだ。何をすればいいのかまったくわからないぞ。
「ナノ―! ね、ね、あっちになんかある!」
 東軍では見た事のないものが多いらしい。
 とりあえずと街に出た俺とふぶさんだが、ものすごくさっきからテンションが高い。
 因みにふぶさんが指さしているものは置物。たぬきの。信楽焼とか言うらしい。
 俺は西国出だから、いまいちよくわかってない。
「でっか! 俺の身長くらいあるのもあるよ!」
「そうですね…俺もよく知りませんけど…」
「わー、いろんな顔とか色あるよ! んー…、赤茶はあるけど、赤はないんだねー」
「赤? …なんでです?」
 ふぶさんは並んでいるたぬきを見て呟く。
 それに俺は首を傾げてふぶさんを見た。
「だって、ナノの髪色と一緒なのに」
「……変な事言いますね」
「え?! 変かな?」
「変ですよ」
 なんでそんな事気にするのか、この人は。
 何より、俺は俺の赤毛嫌いなのに。
「んー…ナノの赤色、綺麗で俺好きなんだけどな」
「……そんな事ないですよ」
「ナノ?」
 俺はふぃっと顔を逸らして、先を歩く。
「わわわ、ナノ、待ってー!」
 慌てて追ってくるふぶさんを引き離しながら、俺は先に東軍駐屯地へ足を向けた。

 無性にいらいらしていた。
 ふぶさんが、俺のそんな事を知らないのは当然だ。
 教えられていない。ここに来た本当の理由も。
 なのに苛立つのはおかしいと自分でもわかっている。
 だが、それでも苛立たずにはいられなかった。
「……なんで」
 あんなきらきらした笑顔を浮かべて
((ナノの赤色、綺麗で俺好きなんだけどな))
 そんな事を言うの
「…おい」
 足早に廊下を歩いていれば、後ろからかかった小声が俺を止めた。
 しまった。最近はふぶさんと一緒にいたから、迂闊だった。
 足を止めて肩越しに後ろを見れば、一般部隊の男達がいる。
「…何かようですか」
 面のように動かない俺の表情に、一番前にいた男は眉を寄せて俺を見ていた。
 そんな事にも表情を動かさないまま、俺は無感情に言葉を返す。
「用事がないなら、もういいですか」
「待てよ」
「……なんですか」
「お前、調子乗っているのか」
 そう、侮蔑の言葉と共に、冷えきった軽蔑の眼が、俺を射抜いた。

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長閑(プロフ) - 麒麟さん» 書いてる話が男主なんでどうしてもそういうふうに傾いてっちゃうんですよね、なんででしょう(すっとぼけ←) 読んでくださってありがとうございました! (2015年6月28日 19時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
麒麟 - 面白いです!これはホモォ・・・「(^o ^)」な展開ですかね・・・! (2015年6月28日 18時) (レス) id: a165517e8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2015年2月28日 3時

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