帰還_３ ページ44
少し遅れてやってきた僕の元生徒達は、口々に「良かった」と言葉にして大泣きして大騒ぎをしたので看護師さんに追い出されてしまった。
呆れ返った顔でP*suKEが4人が追い出された扉の方へと視線を向ける。
「お兄ちゃん達は相変わらずよね。退学になっても痛くも痒くもなくなったからって」
「…そうなの？」
僕とF91は顔を見合わせた。P*suKEは腕を組んではツンと唇を尖らせて追い出された彼らの方へ視線を向ける。
「ええ、目的が変わったの。あなたを守れる人に、って」
「え？」
「あなたがいなくなるより前からそうだったけどいなくなってからはもっとね。いずれ来るだろうあなた達からの報の為に力をつけるんだって頑張ってたわ」
「…知らなかった」
「でしょうね」
何故かP*suKEは安心したというような顔で肩を竦める。理由がわからなくてP*suKEとF91の顔を交互に見ていると、P*suKEは「気にしなくていいのよ」と微笑んだ。
病室の扉を開けて廊下に追い出された4人に声をかけたP*suKEは「あ」と声を零す。
「その花束、大事にしてよね。下町で贔屓にしてるお店なの。近々閉店するからって豪華にしてもらったんだから」
「俺らのもな！ ジュード！」
きっくんの声を皮切りに3人とも僕に声を駆けてくれたが、P*suKEのそっけない一喝に4人は文句を言いつつも扉の隙間から顔を出し、僕に「退院日には迎えに来る」と言い残していった。嵐みたいに賑やかだな。
「じゃあおれも今日は帰るぜ。また明日な」
「…ああ。ありがとう」
「ククッ、くすぐって〜こと言うなよ。…そうだ、ジュード」
「どうしたの」
「今後、やりたい事考えておけよ。残り50年位あっからよ」
「…やりたい事…」
「何でもいいぜ。付き合ってやる」
ニヤリと笑ったF91に僕は目を丸くしてF91を見る。
「まだ僕と一緒にいてくれるの？」
「当然だろ相棒。お前と一緒にいたら飽きねーからな、何もせず過ごすでもいい。…まあ当面はおれの家に来いよ」
そう言われて口を開きかけた僕は口をつぐんだ。
(下町に僕の帰れる家なんてない)
かつての家は下町にあったけれど、…いまの僕にはもうない。
僕の考えに気づいてかわからないが、F91は「安心しろ」と笑った。
「両親は歓迎するってよ。えおチャンは色々うるせーから言ってねーけど」
…一番言っておいた方が良さそうな人物だけど。
僕は苦笑して息を吐く。
「…ありがとね…」
「アッハ、なァ〜にが？」
F91は変わらずケラケラと笑いながら病室の扉を開けた。
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長閑(プロフ) - 代口さん» 初めまして、コメントありがとうございます！当作品を読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです！趣味詰め詰め小説ですが今後もゆっくり更新していきます。よろしくお願いします〜！ (2022年8月9日 1時) (
レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
代口 - 初めまして、コメント失礼します。話に引き込まれて最後まで読んでしまいました、とても素敵な作品と出会えて良かったです。今後の更新も楽しみにしています。 (2022年8月5日 6時) (レス) id: fb96c304db (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 陵さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです！お話は短編の方にその後の話としてあげようと考えていますのでしばしお待ち下さい！読んでくださりありがとうございました！ゆっくりですが今後も更新していきます。よろしくお願いしますー！ (2022年5月3日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
陵(プロフ) - コメント失礼します！完結おめでとうございます！！とても素敵な作品に出会えて幸せです、、！5人のお話や脳筋ぶち破り話（？）も楽しみにしています！！ (2022年5月2日 2時) (レス) @page50 id: ef30949f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2020年1月26日 3時
