行進_2 ※A ページ39
到着したポイントは鉄筋で基礎が作られたビル。目当ての物はこの建物の地下にある。
『ジュードは後ろに下がって、えおえおとF91で先行。あろまは3人のサポートしながら進んで。FBは周囲の敵兵を殲滅』
「オッケ〜」
ゆるく頷いたF91が先行しえおえおが続く。ジープで少し休めたか、先程よりしっかりとした足取りでジュードがあとに続く。おれはその背中を追いかけて更に後ろに付く。
先を行くF91とえおえおがあっという間に敵を片付けていくので、おれとジュードは手持ち無沙汰だ。鉄骨で組まれた地下へと続く階段を降り、目的のサーバーが置かれた部屋へとたどり着く。
「えおチャンそこのサーバーね」
「ああ、これ挿しゃいいのか」
持ってきていた複写用のメモリをF91がえおえおに投げ渡し、それをえおえおがサーバーに挿す。複写は自動的に開始されるがしかし多少なりとも時間はかかる。
ピクリとジュードが反応し、階段の方に睨むような視線を送りながら口を開いた。
「…足音が聞こえる。もう間もなく到着だ。足音からして…重歩兵を前方に置いてるね」
「重歩兵かァ。かてーし盾持ちだし面倒くせーな」
F91は辟易した顔で言う。相当嫌な相手らしいな。少し考えた様子で沈黙していたジュードは、武器を掴みながらおれらの前に出た。
「重歩兵は僕とF91で受ける。2人は他の兵を頼む」
「…お〜よ、やってやろーじゃねーの」
「だけどジュード…、疲れ切ってるだろ?」
えおえおの言葉は最もだ。ずっと戦っていたわけではなくても、警戒で精神は疲弊しきっているはずだ。できればジュードには後方にいてほしいのはおれも同じ。けど、ジュードは緩く頭を振る。
「うん。…でも大丈夫。それらを差し引いても、僕とF91が適任だ」
「成長したな、ジュードくん。っつー事だ、後ろは任せるぜ。えおチャン、あろまチャン」
この状況下でほんの少しはにかむジュードに、ニヤリと笑うF91。あらゆる戦場を経験していたからこその余裕ではなくて、これはおれらの為にこうしているのだとおれ達にはすぐに分かった。
おれ達はかつて襲撃されて死の恐怖を味わったといえど、おれ達は“彼らのような”という意味では兵士とは程遠かった。
だからだ。
おれ達に余計な事をさせない為にこの2人は立つのだ。
最後の結末を知っているからこそ、おれ達が余計な事をする前に彼らはそれを制止するために立つのだ。
「分かった。…でも今更だぜ」
おれは素直に同意した。だがその後に続けた言葉に、ジュードはくしゃりと困ったように笑った。
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長閑(プロフ) - 代口さん» 初めまして、コメントありがとうございます!当作品を読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!趣味詰め詰め小説ですが今後もゆっくり更新していきます。よろしくお願いします〜! (2022年8月9日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
代口 - 初めまして、コメント失礼します。話に引き込まれて最後まで読んでしまいました、とても素敵な作品と出会えて良かったです。今後の更新も楽しみにしています。 (2022年8月5日 6時) (レス) id: fb96c304db (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 陵さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!お話は短編の方にその後の話としてあげようと考えていますのでしばしお待ち下さい!読んでくださりありがとうございました!ゆっくりですが今後も更新していきます。よろしくお願いしますー! (2022年5月3日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
陵(プロフ) - コメント失礼します!完結おめでとうございます!!とても素敵な作品に出会えて幸せです、、!5人のお話や脳筋ぶち破り話(?)も楽しみにしています!! (2022年5月2日 2時) (レス) @page50 id: ef30949f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2020年1月26日 3時