僕らがいる理由_3 ページ4
「それで、上層はなんて?」
僕が本題を切り出すと、F91は「ああ」と緩んでいた表情を顰めて肩を竦めた。
「…次はねーぞ、的なくらい」
「お疲れ様」
向かうように指示を出したのは僕だった為、通常責任は僕に発生する。だが、それを了承して行動したのはF91で、演習場の一件もF91が対応していたからとF91が呼ばれてしまった。
「後…」
「後はネチネチ嫌味言われた」
えおえおが言葉を続けようとしたのを、F91が遮る。嫌そうなえおえおに対し、F91はケロリと「その程度」と笑った。
「…ごめん。僕が無視して命令したのに」
「いーって事よォ」
「…ジュードが、他の司令官を無視して命令したの?」
「ああ…、うん。上があまりに頑固で、…つい」
「つい、にしては様になってたなァ。ハハッ、おれはいーけど」
「えっ、どんな感じだったの!?」
「待ってきっくん食いつかないで」
結局の所命令違反なのだから、あまり掘り下げて欲しくない。やめてと懇願したが、こんないじり甲斐のある場面をF91に逃して貰えるわけもなく。
「そりゃあ格好良かったってーの。いいかァ? 待機所にいたらインカムに通信が来てよ、『F91、行けるか?』って低い声でジュードが言うんだよ」
「やめて…」
「んで、『命令違反だ。だが行ってくれ。上層部のくだらない意地で彼らを失うつもりはない』ってよォ〜〜〜!」
『ああ〜〜〜っ!!』
固唾を呑んでF91の話に聞き入っていた4人が色めき立つ。まるで恋バナをしている女子みたいだなと思いながら僕は顔を押さえた。
「勘弁して、本当に…恥ずかしいから…」
「あ〜んな熱烈に言っときながら恥ずかしがるのかよ〜? 格好良かったぜェ、ジュードくん」
ニヤニヤと笑うF91、キャッキャと色めきだつ4人。軍学の女子生徒達でこういう場面見た事あるけど、男子でもこういうのあるんだね…。
「いや本当に命令違反だから…真似しないでね…」
「でも、ジュードは命令違反だってわかってても、俺を助けてくれたんだよね」
「直接助けたのはF91だけどね。僕はF91に指示を出しただけだから」
「それでもジュードが言ってくれなきゃ、俺もあろまも、きっくんもFBも危なかった」
「僕は…、先生だから。…キミ達を守る義務がある」
それだけじゃない理由が僕の中にはあるけれど、それをこの子達に伝える必要はない。
僕の言葉に、F91は肩を竦めたが、何かを言う様子はなかった。えおえおが少し視線を逸らして頭を振る。
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長閑(プロフ) - 代口さん» 初めまして、コメントありがとうございます!当作品を読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!趣味詰め詰め小説ですが今後もゆっくり更新していきます。よろしくお願いします〜! (2022年8月9日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
代口 - 初めまして、コメント失礼します。話に引き込まれて最後まで読んでしまいました、とても素敵な作品と出会えて良かったです。今後の更新も楽しみにしています。 (2022年8月5日 6時) (レス) id: fb96c304db (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 陵さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです!お話は短編の方にその後の話としてあげようと考えていますのでしばしお待ち下さい!読んでくださりありがとうございました!ゆっくりですが今後も更新していきます。よろしくお願いしますー! (2022年5月3日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
陵(プロフ) - コメント失礼します!完結おめでとうございます!!とても素敵な作品に出会えて幸せです、、!5人のお話や脳筋ぶち破り話(?)も楽しみにしています!! (2022年5月2日 2時) (レス) @page50 id: ef30949f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2020年1月26日 3時