踏み入らぬもの_２ ページ12
きっくんの言葉に、僕は少なからず瞠目した。
彼が髪を整えてくれたおかげで表情は丸見えだから、きっくんがあからさまに動揺する。
「あ！ い、異動したいって言っても、ジュードが嫌になった訳じゃなくて！ あの、あろまみたいな事ができないかなって…！」
「あろまみたいな事？」
「うん。…うちの班はどっちかって言うと戦闘兵重視だから…そうじゃなくて、司令系統とかを学びたいと思って…」
「んなもん、座学でぼちぼちやってんだろ？」
F91に言われて、きっくんは「そうだけど」と表情を曇らせる。言ったF91はいつもの意地悪とかではなくて、きっくんの言葉の理由がいまいちピンと来ていないようだった。
「…俺、思ったんだ。えおえおと…FBは、戦闘で活かせる才能がある。あろまは確かに視力は落ちちゃったけど戦いの実力は本物だ。…でも俺は、そうじゃない」
「まァ、確かに…お前はあの3人と比べっと戦闘能力じゃ劣るよなァ」
「F91」
「…事実だろ？」
ニヤリと笑うF91。今度は意地悪で言っているらしい。いや、意地悪7割本音3割だなこれは。
(でもあくまで“3人と比べると”がある。きっくんの実力は、一般兵と比べればそれを上回る)
先日のトラップを躱す技術や、ルート確保までの速度。援護要請と特攻兵との組み合わせ。現地であれだけ動ける人材は悪い人材ではない。
(…そうか、だからむしろ…)
「うん」
きっくんはあっけらかんとF91の言葉に頷いた。
「だからこそ俺は、あの3人をちゃんと支えられる側に回ろうと思ってる」
「…ふぅん？」
「あろまが戻ってきた時、俺らの部隊は今以上に統率が重要になるでしょ？ えおえおだって、今のままの実力な訳ないし、FBだって同じだ。俺も、普通以上は戦えるけど…あの3人についていくのは難しい。今後になればなおさら、そうなると思う」
4人分のコーヒーを淹れたP*sukeが戻ってきて机にカップを置いた。
「だったら俺は、3人を統率する側になった方が良いんじゃないかと思って」
「…なるほど」
「理には適ってんなァ」
「みんなの事見てて、思ってたんだ。FBとかは少し違うだろうけど…えおえおやあろまは、一般部隊で活躍するには突出し過ぎてる。…そうなると今後、あの2人だけとか…FBとバディでとか…一人でとか…そういう形式での出撃が考えられる。それじゃだめだ。みんなを…独りになんかさせない。させたくない」
そう言ってきっくんは、真剣な眼で僕達を捉える。
「そのために、行かせてほしい」
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長閑(プロフ) - 代口さん» 初めまして、コメントありがとうございます！当作品を読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです！趣味詰め詰め小説ですが今後もゆっくり更新していきます。よろしくお願いします〜！ (2022年8月9日 1時) (
レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
代口 - 初めまして、コメント失礼します。話に引き込まれて最後まで読んでしまいました、とても素敵な作品と出会えて良かったです。今後の更新も楽しみにしています。 (2022年8月5日 6時) (レス) id: fb96c304db (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 陵さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです！お話は短編の方にその後の話としてあげようと考えていますのでしばしお待ち下さい！読んでくださりありがとうございました！ゆっくりですが今後も更新していきます。よろしくお願いしますー！ (2022年5月3日 1時) (レス) id: 4a86d0b1da (このIDを非表示/違反報告)
陵(プロフ) - コメント失礼します！完結おめでとうございます！！とても素敵な作品に出会えて幸せです、、！5人のお話や脳筋ぶち破り話（？）も楽しみにしています！！ (2022年5月2日 2時) (レス) @page50 id: ef30949f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2020年1月26日 3時
