この微妙な距離感 - ３ ※Ａ ページ9
「ハイ、これでいーっスよ」
「おぉ…めっちゃふわふわになってる…」
何故か虎渓に乾かしてもらう事になり、するすると髪の間を通る指に俺の方が緊張した。特に何も考えている様子のない虎渓にこっちの方がモヤモヤしたぐらいで、数分後、何の気なしな虎渓がドライヤーのスイッチを切ると、俺の髪は超ふわっふわにされていた。
「ふふん、手慣れてますからね。きっくんとかＦＢパイセンが時々泊まりに来ると毎度やらされるんで、慣れてるんス。昔知り合いの美容院でバイトしてたこともあるんで、シャンプードライヤー簡単なブローはお手の物っスよ」
「お前…実は結構ハイスペックなんだな…」
「実は結構ってひどいっスよ」
アハハ、と軽快に虎渓が笑う。それに俺も笑みを返したが、反面、虎渓の言葉と態度も気になっていた。
「きっくんとＦＢ、結構よく泊まんの？」
「学生時代はよく泊まりましたね。いまはそれほどでもないんスけど…最近でも結構、近くで飲んでたりとかすると押しかけて来ますわ。あんまりにも宿泊率が高いんで、わざわざ一個布団買ったくらいっスよ」
「ふぅん…」
「あ、今日はあろまさんがベッド使ってくれていいんで。あの二人の布団は押入れに突っ込んであってめっちゃ冷え切ってるんで」
(ただの気遣いか)
特に恋人関係を意識している訳ではない、単純な気遣いだ。
(気づいたけど気づいただけのド初心者ってことか…)
どうすっかね、と俺は内心で溜息を吐き出す。この調子じゃ、たぶん本当に何も意識しねぇぞこいつ。
(仕掛けてみるか)
意外に仕掛けたら意識されたりするか？ ちょっといたずらに近くなるけど…
「…あろまさん」
「あ？」
そう考えていた矢先、突拍子もない発言がでた。
「…あの、えっと…申し訳ないス。強引につれてきちゃって…」
「……は？」
「いや、俺も思ったんスよ、さっき。“なんかやらかした気がする”って！ でも流石にここまで来て“ハイ帰って〜”なんてされるのも嫌だろうしするのも嫌ですし…それできくおに相談してみたんですけど特に助け舟は無く…結局シモネタだけ振られて終わったし…」
驚いた。
あの虎渓が、“なにかやらかした気がする”と思ったこと自体驚いた。こいつ、実は意外に気づけるタイプだった。
内心ちょっと感心してしまってウンウンと頷いている俺に対し、虎渓は顔を覆う。
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長閑(プロフ) - PONKANさん» コメントありがとうございます！今作は特に表現に気を使って書いているつもりなので、そう言って頂けて嬉しいです(*´ω｀)読んで下さってありがとうございます。ゆっくりですが今後も更新していきますので、どうぞ気長によろしくお願いしますー！ (2019年2月12日 0時) (
レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
PONKAN(プロフ) - 唐突に失礼します…好きです……表現の仕方とかめっちゃ尊いです……正直一生読んでたいくらいです……応援してます……！ (2019年2月11日 23時) (レス) id: b094142359 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 魔塩さん» 読んでくださってありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。今後もゆっくりですが更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします！コメントありがとうございます！ (2019年1月8日 21時) (レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
魔塩(プロフ) - 更新お疲れ様です！MSSPの軍パロから長閑さんの小説を知り、ファンになりました。今回の作品も面白くて読むのが楽しいです。応援してます！ (2019年1月8日 1時) (レス) id: ac83d9c582 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2018年11月16日 2時
