“俺”という存在は - ５ ページ35
「…いや待って…もし俺のこれがあってるとしたら、それは流石に俺格好悪すぎない…？」
「何に辿り着いたか知らないけど、迪で格好悪かったら俺どうなんの？ 滅ぶよ？」
唐突に辿り着いた事に動揺して口走ったら、から笑いを通り越して真顔のＦＢ先輩が言う。
「てか俺こんな歳になってこんな所で何してんの？ 人生勉強？ こわ」
「そういうもんだって。もう諦めなよ」
「本当しんどいんだけど、何でみんなこんな事進んでしたがるの？ 嘘でしょパワー入りすぎだって。継続するのにどれだけパワーいるのさ」
「そういうもんなんだって、本当。知らない所に足突っ込んでるんだから、予想外の事も起こるしパワーもいるし。……でも一緒にいたいんでしょ？」
「……うん」
「じゃあいまはそれでいいじゃん。意味付けは後でも」
「……そういうもんスかね」
ごち、と机と額がぶつかった。衝撃と痛みに少し呻きながら、俺は深々と溜息を吐き出して脱力する。
「そういうもん。って事で、とにかく話し合いなよ。色々考え込んじゃって不安になったり怖くなったりするかもしれないけど言わなきゃ。あろま、そういう事言われて嫌がるヤツじゃないよ。特に一緒にいてくれてる以上はさ。二人で解決できる所は二人でしていくといいよ。うまく文章にならなくても、話が出来なくても」
「…そ、だな…」
「ウン。…という事でハイ、電話かけたよ」
「猫谷く───ん！ 仕事早すぎ！！」
有無を言わさず繋がれて渡された電話。既に通話表示に変わっているのであろまさんは電話に出ている。話しかけない訳にもいかない。
「…も、もしもし…」
『……虎渓？』
「い、いま猫谷の携帯借りてんスよ。…あの、……その……い、今とか、時間、空いてないですか。あっ、空いてないならいいんで！ 急いでないんで！ もう夜遅いですし、ホント！」
畳み掛ける様に言葉をつなげてしまって、息も吸いにくいしがちがちに緊張している。スマホを持つ手が震える。
『……空いてる。…来んの？』
「……い、いっスか……？」
端的に了承が返ってきて、俺は「急いで行きます」とだけ返して通話を切った。
猫谷が住所を教えてくれて、ＦＢ先輩が気をつけてと言う。机に代金をおいて急いで出る準備を整え、個室の扉を開けた俺を猫谷が止めた。
「ちゃんと言えよ。自分の気持ち」
「……うん」
強く頷く。店を出ると、俺は走り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長閑(プロフ) - PONKANさん» コメントありがとうございます！今作は特に表現に気を使って書いているつもりなので、そう言って頂けて嬉しいです(*´ω｀)読んで下さってありがとうございます。ゆっくりですが今後も更新していきますので、どうぞ気長によろしくお願いしますー！ (2019年2月12日 0時) (
レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
PONKAN(プロフ) - 唐突に失礼します…好きです……表現の仕方とかめっちゃ尊いです……正直一生読んでたいくらいです……応援してます……！ (2019年2月11日 23時) (レス) id: b094142359 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 魔塩さん» 読んでくださってありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。今後もゆっくりですが更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします！コメントありがとうございます！ (2019年1月8日 21時) (レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
魔塩(プロフ) - 更新お疲れ様です！MSSPの軍パロから長閑さんの小説を知り、ファンになりました。今回の作品も面白くて読むのが楽しいです。応援してます！ (2019年1月8日 1時) (レス) id: ac83d9c582 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長閑 | 作成日時：2018年11月16日 2時
