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その境界線はどこか - 2 ページ13

ちらりとコスモス畑の中にいるあろまさんを探す。カメラ越しにじっと花を見つめる横顔を見ながら、俺はその光の粒の流れを見ていた。今日の日差しは夏の強い日差しとは代わり、その鳴りを潜めつつあった。故に、彼のふわりとした黒髪は光を受けて緩やかな輝きと色を溶かした光を零していた。
(紅葉とか似合いそうだなぁ、あろまさん)
 来月は紅葉か…下旬くらいの山なら、いい写真が撮れるだろうか。
 そんなことを考えながらボーッとしていたら、後ろから声をかけられた。
「迪、どしたの」
「んん、FBパイセンこそどうしたんスか。猫ちゃんいますよあそこに」
「ン猫ちゅわん! …じゃなくて! …迪がどうしたのって聞いてんの」
「あはは。あろまさん紅葉似合いそうだなーって思ってたス。…そういうFBパイセン、なにかお話があるのでは?」
 にやりと俺が笑うと、FB先輩は「うっ」と小さく声を上げ、サングラスの奥で気まずそうにその視線を彷徨わせる。そうしてしばしの沈黙の後、「聞いてもらえます…?」と小声で言った。
「いいっスよぉ。聞くだけなら」
「…実は…」
 どうせ、猫谷絡みの話だろうと思っていたら案の定。
 最近なんだかそっけないとか、なんかつっけんどんだとか、距離を感じるとか。そういう意見に対し、俺は特に実りのない回答しか返せず、いまは繁忙期じゃないしそれほど忙しくないと思うとか、なんか考え事してる事多いだとか、俺には普通だとか。
 その回答を聞くたび、FB先輩が徐々に表情を曇らせる。気の利いたフォローでもできればいいんだろうけど、良いフォローってなんだろう?
「…てか、最近が連絡とり過ぎだったんじゃ? イマドキの子みたいでしたよね?」
「いや…うん、まぁ…。でも朝と夜くらいだよ? その点、あろまと迪冷めすぎじゃない?」
「えぇ、マジっスか。…まぁ確かに必要が無けりゃ連絡しませんけど…そういうもんじゃないスか?」
「ドライ。俺だったら泣くわ。仮にも付き合ってんなら多少連絡したほうが良いんじゃないの? 特になんもなくても。いまから出勤とか、おはようとか」
 FB先輩が指を折りながら、アレとかコレとか、と言う。それに対し、俺はただ苦笑いを零しながらカメラを構え、撮りたくなった空にカメラを向けた。
「若いっスねぇ。そういうのっているもんなんスか?」
「だって、…そのくらいしなきゃ友人と変わんなくない?」

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長閑(プロフ) - PONKANさん» コメントありがとうございます!今作は特に表現に気を使って書いているつもりなので、そう言って頂けて嬉しいです(*´ω`)読んで下さってありがとうございます。ゆっくりですが今後も更新していきますので、どうぞ気長によろしくお願いしますー! (2019年2月12日 0時) (レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
PONKAN(プロフ) - 唐突に失礼します…好きです……表現の仕方とかめっちゃ尊いです……正直一生読んでたいくらいです……応援してます……! (2019年2月11日 23時) (レス) id: b094142359 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - 魔塩さん» 読んでくださってありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。今後もゆっくりですが更新していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!コメントありがとうございます! (2019年1月8日 21時) (レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
魔塩(プロフ) - 更新お疲れ様です!MSSPの軍パロから長閑さんの小説を知り、ファンになりました。今回の作品も面白くて読むのが楽しいです。応援してます! (2019年1月8日 1時) (レス) id: ac83d9c582 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2018年11月16日 2時

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