「だから……そんな風に」 ｓｉｄｅ えおえお ページ23
「俺がその変化に気づいたのは、崩壊する寸前でした。…兄は、『母はそんな人じゃない』とよく嫌そうな顔をしていっていましたが、小さかった俺はその意味がわからなかった」
その表情に、影が落ちる。
「派手なメイク、派手な衣装。晩に出かけては、夜中に酔っ払って帰ってきて、酒のにおいをまき散らしながら俺や兄にあたってました。…結局離婚して、俺は父と暮らし始めました」
それで、少しは楽になったの？ そう、小さく問いかけた。
「……まぁ、気分的には楽でしたよ。父は俺にあたりませんでしたし、酒も嫌ってました。…だけど、父は仕事に没頭しだして、朝から夜遅くまで働きに出て、気がついたらまたいなかった」
無理に作った笑みで、逢くんが笑った。でもそれはすぐに消えて、顔は俯く。
「…そのうち、父は帰ってこなくなった。気がつけば家には俺しかいなくなって、父の為に用意しておいたご飯は……そのままで。…中学、３年の時です。…俺は逃げるようにここに来た。久々に会った兄に頼んで働かせてもらって、高校に入りました」
いま、ここにいるのは兄の援助のおかげだという。
やんわりと拳を解いて、逢くんが俺を見た。
「父が口座には定期的にお金を入れてくれてますから、困ってはいません。兄とは仲もいいですし、仕事も大丈夫です。…それに、ここに来たから、こうして藤田さんにも会えましたし」
「……！」
そう言って、ようやく笑みを見せてくれた逢くんを、俺は抱き寄せた。
「ふ、藤田さん？」
「…辛いの、隠さなくていいよ。俺が逢くんに会ってからは短いけど、いいところたくさん知ってる」
「……藤田、さん」
「だから……そんな風に１人で悲しいのを押し込むな」
背中に回された手が、服を掴む。肩が揺れて、嗚咽が聞こえた。
とりあえずはこのままで、背中をさすって俺は眼を伏せた。
「いいこと思い出したんだ」 ｓｉｄｅ えおえお→←「…昔は、あぁじゃなかったんですよ」 ｓｉｄｅ えおえお
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長閑(プロフ) - 可愛く出来るのが男主だけという不器用さです← しばらくもだもだしちゃいますがよろしくお願いします！ ありがとうございます！ (2014年12月27日 14時) (
レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
理緒 - 夢主君が可愛い過ぎて、読むたびに悶えてしまう笑ｷｭﾝｷｭﾝしますね^∀^* (2014年12月27日 8時) (レス) id: 41b8e562fd (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ありがとうございます！こんな趣味丸出しの小説なんかでいいのかとどきどきしてますが頑張らせてもらいます！ (2014年12月27日 1時) (レス) id: b1fbb6f323 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鹿 - この小説面白いです！更新頑張ってください！ (2014年12月27日 1時) (レス) id: 9ef6538fc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2014年12月24日 21時
