【ＭＳＳＰ】隣人はＨＳ実況者【男主】

「なんか抱きしめたい衝動にかられた」 ページ13

びっくりした。
　急に口に指当ててくるんだもんな。
　しかも藤田さんかっこいいから、顔近づけられると妙に変な気分になる。
(むむ…)
　なんか、顔が熱い気がするし。
　なんか、胸がどきどきするし。
　なんだこれ。
　大丈夫か、俺。明日死ぬんじゃないか？
「あ、逢くん帰ってきたー」
「なんかあったー？」
　明るい調子で桐山さん…きっくんと、狛田さんが俺に声をかけてくる。
　だけど、さっきの藤田さんとの話があるから。
「す、すみません。プリンは切らしてました。代わりと言っては何ですが、麦茶のおかわりは持ってきました」
「わ、ありがとね！ 俺ほしいです、ください！」
「はい、狛田さん」
　コップ空になるのはやいな。結構入れておいたのに。
　藤田さんもきっくんとか幡野せんｓ…じゃない、幡野さんと普通に話しているし、やっぱり仲いいんだな。
(……ん？)
　なんだ、なんかいま…
「…逢くん、どうかしたの？」
「……い、いえ。ちょっとぼうっとしてました。すみません」
「いいけど…体調悪いなら隠さなくていいからね？」
「あ、ありがとうございます。狛田さん」
　軽く頭を下げると、狛田さんに頭を撫でられた。
　わ、手すごいしっかりしてる。おっきい。
「……………？」
　俺の頭を撫でながら、狛田さんが首を傾げだした。
　なんだろう、俺、なんか変かな？
　いや、頭撫でられてる時点で高校生だろ、ってツッコミ入りそうだけど。
「……ぎゅ」
「……っ？！ っな、なんですか？！」
　狛田さんに急に抱きしめられた。
　なんだなんだ？！ 一体何だ！
「いやぁ、逢くん見てたらなんか抱きしめたい衝動にかられた」
「そんな衝動にかられなくていいです！」
「なぬ。じゃあ俺もしてやろう」
「や、しなくていいですから、きっくん！」
　抵抗も虚しく抱きしめられた。
　なんだこれ。男子高校生が大の大人２人に抱き締められるの図。
　変じゃん。凄く変だよ！
「あ、あの…これは新手のバツゲームでしょうか…？」
「えー、嬉しくない？」
「俺は高校生で、しかも男です。いや、好いていただけるのはありがたいですが、対応に困ります」
　ちぇー、と言いながら２人が離れ、俺はほっと息を吐いた。
　ふと藤田さんに視線を向けたら、ほんの少し機嫌が悪いような顔で、机の縁を見つめていた。
(……あれ……？)

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