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イースト・コマンダー ページ8

冗談も通じないのかぁ、と俺は苦笑をこぼし、マークを呼ぶ。
「マーク、お先にどーぞ?」
 ぴょいぴょいと手を振れば、素直にマークが踵を返す。
 ウルフグレイの体躯がのそのそと動く。司令官のいる場所向けて。
「待て…っ!」
「あ、この子返すねっ」
 地面に倒れ込んだままのあろまを掴み、俺はえおえおに向かって投げた。
 投げつけられたあろまを慌てて抱えたえおえおは、俺に驚愕の目線を向けてくる。
「軽い脳しんとうじゃない? ちゃんと手当してあげてねーっ」
 マークの後を追って隣の建物へ飛び移る。
「待てッ!」
 後ろから怒気の混ざったえおえおの声が聞こえてくるが、俺はけらけらと笑い飛ばす。
「マーク、司令官のにおい知ってる?」
 俺がそう問うたものの、マークはこちらを一瞥し、前を向き直す。
 NO、ってことか。
「そっか…、俺、なんか妙な気分…」
 俺の言葉は聞いているのだろうが、全く無反応のマークに苦笑をこぼした。
「独り言みたいになってるじゃんか、反応してよー」
 そういうものの、やはり反応はない。
 まぁ、常々一緒にいてかなりクールなマークにその辺りを言っても無駄なことはすでに重々承知である。
「…じゃ、行きますかね」
 マークが一旦下に軌道をそらし俺が先に踊り出る。
 目の前に現れた窓ガラスに、腕を交差させて飛び込んだ。
 中には肩に豪華な大将の上着をかけた金髪を揺らす武官。男にしてはやや髪が長いか。
 いや、しかし体格からして男のはずだ。俺は腰に担いでいたSMGを引き抜き、司令官に向けた。
「…じゃ、ばぁー……」
 引鉄を引こうとした指を、俺は思わず止めた。そこにいた顔に、見覚えがあったのだ。
「…え…」
 向こうも驚いた様な表情をしている。
 そこにいるのは確かに、MSSPの司令官、<戦況の指導者>だ。
 マークの鼻に間違いはないはずだ。前の戦線で嗅ぎつけていたにおいを追ってきた。
 目の前の男は、確かに司令官。
「……き、」
 俺が言葉を紡ぐより早く、司令官横すれすれを通った弾丸が俺の肩に命中した。

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長閑(プロフ) - 悠莉@菜種油さん» ありがとうございます!楽しんで書いた小説を同じように楽しんで読んでもらえて嬉しいです(*´∀`)やや更新が遅れがちになっていますが、少しずつ更新させて頂きますので、よろしくお願いします〜 (2016年12月8日 22時) (レス) id: 323e0f8fe4 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉@菜種油(プロフ) - 久しぶり(?)の新作に大興奮です!!過去作全てがドストライクで今回もドストライクっっ。最高です!!これからもよろしくお願いします(`・ω・´)ゞビシッ!! (2016年12月4日 9時) (レス) id: c4ac4be369 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ささはらさん» ありがとうございます!設定からもう趣味丸出しなので少しドキドキしながらの更新でしたが、楽しんでもらえて嬉しいです(*‘ω‘ *)更新頑張ります。気長にお付き合いください〜 (2016年11月14日 23時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
ささはら(プロフ) - 更新お疲れ様です!設定と主君のキャラがドストライクでにやにやしながら読ませて頂いております。次の更新も頑張って下さい(*´-`) (2016年11月14日 20時) (レス) id: ca191c4974 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2016年11月9日 22時

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