コールド・アイアン ページ5
「じゃあ、やるか」
俺は改めてそう切り出し、背に携えた銃を引き抜いた。
あろまとえおえおが俺が動いた事に反応し、真っ先にえおえおが追い付いてくる。
「っは、さすが強化兵、速いな! 強化兵と普通に当たるのは初めてだから、ちょっとばかりわくわくするぜ!」
「そんな事言われたの初めてなんだけど」
「どきどきするだろ?」
「そんな訳ねぇべや」
えおえおのナイフが鼻先を掠めるように振るわれ、あろまの刀が腹を裂こうとそれを掴む腕が引かれる。
振るわれた刀を躱したが、再び踏み込んできたえおえおのせいで体勢を崩された。
ここぞとばかりに踏み込んできたあろまの刀を屈んで躱したが、横振りの刀が方向を転換し縦振りに変わる。
頭上。危険。
「…っと」
腕を頭上に掲げ、刀を防ぐ。鉄の腕は酷くあっさりと刀を受け止める。
あろまが眼を見開く。俺は口角をあげ、前へ足を滑りこませた。
「生身ばっか相手にしてると吃驚するだろ?」
そう呟いた俺の首の横を、ナイフが掻き切っていった。
しかし、やはり鉄の身体には傷ひとつつかない。
「っちぃ! その様子だと、脳みそ以外は全部鉄クズか!」
「鉄クズとは失礼な。連合国じゃかなり珍しいソフトマシンとハードマシンの混合作なんだぜ?」
「…なら、胴体は斬れるって話か」
「察しがイイなぁ、末恐ろしいよ!」
連合軍で使用されているボディには二種類ある。
ソフトマシンとハードマシンと呼ばれる二種類で、その名の通り、ソフトマシンは機体自体が柔らかく柔軟性がある。その代わり強度が劣る。ハードマシンは機体が主に炭素鋼、その他としてクロム鋼、超硬合金といった金属でできており強度が高い。その代わり、柔軟性がない。関節などの要所にはソフトマシンが使用されるものの、ハードマシンに比べ、ソフトマシンはかなり値が張る。
軍直々に拾われた俺には、それが無償で提供された。
いいや、無償というのはおかしいか。連合軍のコマとして動くかわりに、身体をもらった。
それが正しい。
(ま、どうでもいいけど)
冷めたまま内心でそう吐き捨て、俺は目の前の戦場に没頭する。
ゼアー・イズ・ノット・ア・メリット→←マシナリー・ソルジャー
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長閑(プロフ) - 悠莉@菜種油さん» ありがとうございます!楽しんで書いた小説を同じように楽しんで読んでもらえて嬉しいです(*´∀`)やや更新が遅れがちになっていますが、少しずつ更新させて頂きますので、よろしくお願いします〜 (2016年12月8日 22時) (レス) id: 323e0f8fe4 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉@菜種油(プロフ) - 久しぶり(?)の新作に大興奮です!!過去作全てがドストライクで今回もドストライクっっ。最高です!!これからもよろしくお願いします(`・ω・´)ゞビシッ!! (2016年12月4日 9時) (レス) id: c4ac4be369 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ささはらさん» ありがとうございます!設定からもう趣味丸出しなので少しドキドキしながらの更新でしたが、楽しんでもらえて嬉しいです(*‘ω‘ *)更新頑張ります。気長にお付き合いください〜 (2016年11月14日 23時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
ささはら(プロフ) - 更新お疲れ様です!設定と主君のキャラがドストライクでにやにやしながら読ませて頂いております。次の更新も頑張って下さい(*´-`) (2016年11月14日 20時) (レス) id: ca191c4974 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長閑 | 作成日時:2016年11月9日 22時