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ザ・ピープル・フー・ディスアピアード ページ16

合図はあろまの切っ先がやや上に上がったことだ。
 喉仏に向けられていた切っ先が顎下を狙うような形で上がった。それに反応し、俺は後方へ重心を落としながら下がる。切っ先のやや上がった刀はそのまま突きの勢いで斬撃を放つ。マークが反応し横へ移動、あろまへかかろうとした。
「マーク、ストップ」
 あろまの刀を指先で逸らした。金属同士の乾いた音と、こすれ合う音が響く。制止をかけられたマークが怪訝な表情を俺に向けてくる。
「俺で十分」
「舐められたもんだな、<道化>!」
「その呼ばれ方あんまりすきじゃないんだけどなー」
 あろまの刀をしのぎ、俺は体勢を低くした。それに応戦するあろまも身を屈ませた。足元への攻撃。跳躍。片手でバランスをとる。振り切られた刀は突きへ変化した。身体を捻ってそれを躱し、後方へ回転しながら着地。
「舐めてんのか、<道化>。その腰にある銃はお飾りか?」
「物騒な事は嫌いんだよねー」
「……抜けよ。おれは本気だぜ」
「抜いて叱られる率は俺の方が上でしょ。ヤだよ」
 あろまが大きな舌打ちをし、踏み込んできた。身を翻す。あろまの刀が頬を掠めたが、幸い金属部だ。外傷はない。
「この鉄クズ野郎が…! どうせスパイ目的だろ、とっとと白状した方が身のためだぜ!」
「……悪いけど、俺は本当にそんな気ないから」
 咄嗟に身を屈ませた。あろまの刀が頭上を行き過ぎようとして、方向転換。縦振りに変わる。屈んだまま横へ移動する。刀の追撃はやまない。
「お前のどこまでが本当かなんて、機械野郎がわかるのかよ!」
「…まぁ確かにね。どこまでが本当かなんて俺も知らないけどさ。そうだとしても、俺はきっくんを騙したりしないよ」
「なんで言い切れる…!」
「約束したから。……“俺”が死ぬ前に。それだけが、“俺自身”の約束だから」
 あろまの追撃がやんだ。重心を落とし、俺を睨めつけたままにあろまは俺に問うた。
「どういう…」
「…俺達“ソールマトン”って言われるのは…厳密には身体に機械を組み込んだ“オートマタ”とは違う」
「…つまり?」
「……連合国の機械兵士は、すでに死亡が確定している者だけだ」

クォリティ・オブ・マシーン ※A→←アイ・ドゥ・ノット・ヒア・ザ・コマンド



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長閑(プロフ) - 悠莉@菜種油さん» ありがとうございます!楽しんで書いた小説を同じように楽しんで読んでもらえて嬉しいです(*´∀`)やや更新が遅れがちになっていますが、少しずつ更新させて頂きますので、よろしくお願いします〜 (2016年12月8日 22時) (レス) id: 323e0f8fe4 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉@菜種油(プロフ) - 久しぶり(?)の新作に大興奮です!!過去作全てがドストライクで今回もドストライクっっ。最高です!!これからもよろしくお願いします(`・ω・´)ゞビシッ!! (2016年12月4日 9時) (レス) id: c4ac4be369 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ささはらさん» ありがとうございます!設定からもう趣味丸出しなので少しドキドキしながらの更新でしたが、楽しんでもらえて嬉しいです(*‘ω‘ *)更新頑張ります。気長にお付き合いください〜 (2016年11月14日 23時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
ささはら(プロフ) - 更新お疲れ様です!設定と主君のキャラがドストライクでにやにやしながら読ませて頂いております。次の更新も頑張って下さい(*´-`) (2016年11月14日 20時) (レス) id: ca191c4974 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:長閑 | 作成日時:2016年11月9日 22時

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