「絶対に譲りたくない」 ページ35
「もっ、た！」
ぜいぜいと息継ぎをしながら、俺は眼の前の扉を見やる。足はだいぶ疲労でやられ、膝が今にも笑いそうだが、そんな足を叱咤して、インターホンを押した。
「…ハイ…？」
あまり元気のない返事と共に扉が開けられた、が、俺の姿を視認した途端、中にいた住人の肇さんは勢い良く扉を締めた。
「ちょっ、え？！ は、肇さん？！」
「…い、まは、無理。…ちゃんと話せない…」
「じゃ、じゃああの、俺の話だけでも聞いてください」
久々の運動のせいで息も絶え絶えだが、伝えなければならない。
俺は必死に酸素を吸いながら、口を開く。
「俺、肇さんが好きです。その事だけは、絶対に譲りたくないんです。怒られても、…嫌われても、やっぱり、好きです。俺、あまり言わなくて、言えなくて、好きって言ってくれる肇さんに返せなくて、甘えてばっかりじゃダメだって思いました。…仕事が忙しそうな肇さんに、俺が相談したら、迷惑だって思って…、言えなかったんです。本当に、すみません…」
ギュッと拳を握る。泣いたらダメだ。泣くような所じゃない。まだだ、ちゃんと堪えて、俺。
「でも、頼りないとか、頼りにしてないとか、信頼してないなんて、そんなことは絶対に無いです。俺が勝手に思い込んだだけで、肇さんは何も悪くなくて…ッ！」
泣くな。堪えろ俺。零すな。泣いたら肇さんは優しいから、また、
「…逢」
小さな音を立てて扉が開く。申し訳なさそうな顔をして、肇さんが俺を引き寄せながら扉を閉める。
「ごめんね、逢」
「…あ、やまるのは、俺の方で、ごめんなさい、俺、本当に、自分のことばっかり、」
「ううん、俺がだめだよ。ちゃんと“大人”じゃなきゃいけないのに、怖がってばっかりで、不安ばっかりだったんだ」
優しく抱きしめられて、思わずまばたきをした瞬間にこぼれた。溢れ出したものはなかなか止まらず、俺は嗚咽を零した。
「一緒にいてくれる…？」 ｓｉｄｅ Ｅ→←（…あぁ、本当に好きだった） ｓｉｄｅ Ａ
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長閑(プロフ) - Chaosさん» そ、それはおシモネタの話のことでしょうか…？もしもおシモネタのお話でしたら、検討した後にこちらか、申し訳ないのですが個人サイトでの更新となります。その場合にはやや手間となりますがどうかご了承下さい。最後になりましたが、ありがとうございました！ (2018年1月16日 2時) (
レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
Chaos(プロフ) - 完結おめでとうございます…！！あの個人的に最後までやっちゃうやつがほしいのですが気が向いたらお願いしたいです…！！ (2018年1月12日 17時) (レス) id: ca4f336d1c (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ぶどうジュースさん» ありがとうございます〜！読んでくれた皆様のおかげで、無事完結しました。後は短編での登場がメインですが、また楽しんでもらえるよう頑張ります(*･ω･)最後までお付き合い下さりありがとうございました！ (2016年12月14日 14時) (レス) id: 92e94bc51d (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様です！ずっと見続けていたシリーズだったので、にやにやしつつ寂しい気持ちです…。短編でまた、可愛い男主くんとeoheohさんのお話が読めることを楽しみにしています！ (2016年12月14日 2時) (レス) id: d5cf48f873 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - みことの神隠しさん» ありがとうございます！最近更新が遅くなりがちですみません(´・ω・｀)更新頑張ります、読んでくださってありがとうございました！ (2016年10月3日 2時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2016年7月7日 0時
