「あの人と一緒にいたい」 ページ33
昔からそうだった。
家が少し特殊だったのもあってか、兄は俺を凄く可愛がってくれた。幼馴染にも恵まれて、幼馴染の家族に、血の繋がりがなくても家族だと言われた。俺はずっと環境に恵まれていた。良く言えば周りが助けてくれた。悪く言えば俺は何もしてない。俺は何も言わない。言わなくてもわかってくれた。理解してくれた。
だから、ちゃんと言う事の大切さっていうのを、今更噛み締めた。
肇さんにも甘やかされてばかりで、俺はあの人の優しさに甘えてばかりで。これじゃだめだって思って、せめて進路をキッチリしようと思った。でもツケは回ってきて、こうやって一杯一杯になったら、甘やかしてくれる人の所に来て。守ってもらうばっかりで。
それじゃ、だめなんだ。
「…気持ちは、嬉しいんです。でも、……でも、だめなんです」
目頭が熱くなる。泣く所じゃないってわかってるのに、俺の眼からは涙が止まらない。
「俺、俺はやっぱり、どうしても、肇さんが好き、だから、」
今更だけど、遅いなんて言わないでほしい。お願いだ。
「俺は、あの人と一緒にいたい…っ！ だから、俺、あろまさんには応えられない…、ごめんなさい…っ！」
言わなきゃいけないんだ。ちゃんと。怒られても、もう一度ちゃんと伝えたい。せめて、伝えさせて。それで嫌だと言うなら、俺はきっと諦めるだろう。
諦めたふりをして、きっとずっと好きなまま。
「…はー…」
あろまさんの深い溜め息が吐かれる。今日何回目だろう、あろまさんの溜息。あぁ、苦労をかけてしまってる。そう思っていた俺の頭を、くしゃりとあろまさんの手が撫で、ギュッと抱きしめられた。
「そんだけ言えりゃ上出来。…あいつも頭冷えた頃だろ、ちゃんと伝えてやれ」
きょとんと俺が見上げていると、あろまさんは身体を離して、真剣な眼で俺を見る。
「…そりゃ、俺の気持ちはホントだけどな。でも、俺はやっぱ、あいつと並んで笑ってるお前見るのが一番なんだわ。…だからとっとと仲直りしてこい」
「…はい…！」
ふと笑ったあろまさんの笑みが、いままでよりずっと柔らかかった。俺は強く頷き返して、持ってきていたものを引っ掴んで走る。ここから随分遠いが、いまはそんなに遠くない気がした。
（…あぁ、本当に好きだった） ｓｉｄｅ Ａ→←「俺を選べよ」
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長閑(プロフ) - Chaosさん» そ、それはおシモネタの話のことでしょうか…？もしもおシモネタのお話でしたら、検討した後にこちらか、申し訳ないのですが個人サイトでの更新となります。その場合にはやや手間となりますがどうかご了承下さい。最後になりましたが、ありがとうございました！ (2018年1月16日 2時) (
レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
Chaos(プロフ) - 完結おめでとうございます…！！あの個人的に最後までやっちゃうやつがほしいのですが気が向いたらお願いしたいです…！！ (2018年1月12日 17時) (レス) id: ca4f336d1c (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ぶどうジュースさん» ありがとうございます〜！読んでくれた皆様のおかげで、無事完結しました。後は短編での登場がメインですが、また楽しんでもらえるよう頑張ります(*･ω･)最後までお付き合い下さりありがとうございました！ (2016年12月14日 14時) (レス) id: 92e94bc51d (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様です！ずっと見続けていたシリーズだったので、にやにやしつつ寂しい気持ちです…。短編でまた、可愛い男主くんとeoheohさんのお話が読めることを楽しみにしています！ (2016年12月14日 2時) (レス) id: d5cf48f873 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - みことの神隠しさん» ありがとうございます！最近更新が遅くなりがちですみません(´・ω・｀)更新頑張ります、読んでくださってありがとうございました！ (2016年10月3日 2時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2016年7月7日 0時
