「諦めた訳でもねぇし」 ｓｉｄｅ Ａ ページ30
電子音が響いて、俺はようやくかよと扉を開けた。
汗だくで、肩で息をしているえおえおが、そこに立っている。
「…よぉ、逢泣かせのクズ。遅かったな」
俺はわざと煽る様に悪態を吐いた。これでえおえおが乗ってくるなら、それはそれとばかりに吐いた悪態だ。…しかし意外にも、俺の予想に反してえおえおは乗ってこなかった。
「逢、中でしょ。…会わせて」
「…ふぅん。ちっとは冷静になったってか？ けどまぁ、お前に直接謝りに行かずに俺ん家に来るあたり、相当愛想つかされてんじゃねぇの？」
意地悪く笑い、意地悪い言葉を吐く。これには流石に黙っていられないとばかりに、えおえおの眉がきゅっとよった。
「あろま、いい加減にしてくれない。俺は逢に話あんの、あろまには無いよ」
「いま逢は俺の家にいる。自分から来た。ならまず家主の俺通すのが道理ってもんだろがよ」
「あろまを巻き込んだことは、悪いと思ってる。…喧嘩の原因が、俺の嫉妬だって分かってる。だから、来た。ちゃんと言わなきゃいけないことがある」
(…ふん、マジでちょっと頭冷やしてきてるか)
だが、ここで俺も易易とは引けない。なにせ、俺は言ったのだ。えおえおが悩んでいたあの時に。
ニヤリと口角を上げた俺に、えおえおは怪訝な表情を浮かべたが、気にしない。俺は口を開く。
「なぁ。おれ言ったよなぁ？ おれは逢の事は大事にするってな。んで、そん時に言ったよな？ “お前がそんな態度をいつまでもとってるんだったら、おれは逢のこと、もらうぜ”、ってな」
弾かれたように顔を上げ、えおえおは俺を見た。忘れてたって言わんばかりの顔だ。っていうか、顔に書いてある。まぁこんな状況になるなんて考えてなかっただろうし、何よりあの時はまず逢とこういう関係になれるとも思ってなかっただろうしな。
「なにせ、俺は諦めた訳でもねぇし？ それに決めてたんだわ、こういう“もしも”が起きたら、俺は逢をもらうってな。俺は容赦しない」
俺の言葉に、えおえおはギュッと拳を握った。
(…俺がこれ言う時は来てほしくなかったけどな)
どうあがいても俺のものにならないからとか、そういうことじゃない。
ただ、泣いてる逢を見たくなかっただけなんだ。
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長閑(プロフ) - Chaosさん» そ、それはおシモネタの話のことでしょうか…？もしもおシモネタのお話でしたら、検討した後にこちらか、申し訳ないのですが個人サイトでの更新となります。その場合にはやや手間となりますがどうかご了承下さい。最後になりましたが、ありがとうございました！ (2018年1月16日 2時) (
レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
Chaos(プロフ) - 完結おめでとうございます…！！あの個人的に最後までやっちゃうやつがほしいのですが気が向いたらお願いしたいです…！！ (2018年1月12日 17時) (レス) id: ca4f336d1c (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ぶどうジュースさん» ありがとうございます〜！読んでくれた皆様のおかげで、無事完結しました。後は短編での登場がメインですが、また楽しんでもらえるよう頑張ります(*･ω･)最後までお付き合い下さりありがとうございました！ (2016年12月14日 14時) (レス) id: 92e94bc51d (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様です！ずっと見続けていたシリーズだったので、にやにやしつつ寂しい気持ちです…。短編でまた、可愛い男主くんとeoheohさんのお話が読めることを楽しみにしています！ (2016年12月14日 2時) (レス) id: d5cf48f873 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - みことの神隠しさん» ありがとうございます！最近更新が遅くなりがちですみません(´・ω・｀)更新頑張ります、読んでくださってありがとうございました！ (2016年10月3日 2時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長閑 | 作成日時：2016年7月7日 0時
