「一緒にいられる時間減っちゃう…」 ページ11
「では、希望先の修正ある人は帰りに改めて提出してください。朝はこれで終了です」
ＨＲ担当の教師が軽い声音でそう言い、持ってきた物をまとめて去っていく。
俺は渡された紙を見つめ、盛大に溜息を吐いた。
「逢ちゃんどうした？」
「いや…、真面目にどうしようと思って」
「あぁ、進路？ 逢ちゃんは就職だよね？」
「うん、そう。…進学するほど余裕ないし…。直樹は進学でしょ？」
「ですぜ！ 経営学勉強の為にな」
ハッハー、なんて笑いながら直樹が紙を見せてきた。ぶっちゃけ俺は大学なんて眼中になかったからどんな大学なのかは知らない。
「…そっか、姐さまのお店手伝うんだもんね」
「そっそ。…別に学ばなくても姐さまに教えてもらえるけど、やっぱ基礎はいると思ってさ。短大進学でーす」
「…そっかぁ…」
「まー…、就職もいいじゃない。なんでそんな悩んでるの？」
直樹にきょとんと見られ、俺は紙を差し出した。暫し紙に眼を走らせ、直樹があぁ、と呟いた。
「遠いんだ、この会社」
「…そう。この学校はバスで来れる範囲だからいいんだけど、電車もバスも乗り継いで２時間以上かかったらもう向こう住んだ方が安いレベルでさ…」
「これ、配属決まってるの？」
「面接のときに配属希望言うんだって。書いてあるところがここから一番近い支社で…」
はぁあ、と盛大に溜息を吐けば、直樹はから笑いを零す。
「で、２時間以上かかると」
「デース」
「引っ越しは嫌…なんだよね、その反応見るに」
「…そりゃそうだよ。…肇さんと一緒にいられる時間減っちゃう…」
「いやーこれは重傷ですわ」
まぁ重要ですけどなーと言いながら直樹はどうしたもんかね、と呟く。
「え、…藤田さんは当たり前だけど社会人だし、そうそう簡単に移動しませんしなー」
「そんな図々しいこと言える訳無いでしょ…」
「ですな。…この会社にこだわる理由は？ 会社自体変更の手もあるよね」
「ほら、就職説明会あったでしょ、いろんな会社が集まる。…そこで一番良かったんだよね」
「はぁーん、なるほど。…じゃあまぁ…諦めるしかないよな…」
「それね…。…仕事で妥協する訳にはいかないし…。あー…」
どうしよう、と俺が頭を抱えたところで、直樹が「あ」と口を開いた。
「相談すれば？」
「誰に？」
ニヤリと笑った直樹に、俺は首を傾げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「実況者」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
長閑(プロフ) - Chaosさん» そ、それはおシモネタの話のことでしょうか…？もしもおシモネタのお話でしたら、検討した後にこちらか、申し訳ないのですが個人サイトでの更新となります。その場合にはやや手間となりますがどうかご了承下さい。最後になりましたが、ありがとうございました！ (2018年1月16日 2時) (
レス) id: 90c3880b48 (このIDを非表示/違反報告)
Chaos(プロフ) - 完結おめでとうございます…！！あの個人的に最後までやっちゃうやつがほしいのですが気が向いたらお願いしたいです…！！ (2018年1月12日 17時) (レス) id: ca4f336d1c (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - ぶどうジュースさん» ありがとうございます〜！読んでくれた皆様のおかげで、無事完結しました。後は短編での登場がメインですが、また楽しんでもらえるよう頑張ります(*･ω･)最後までお付き合い下さりありがとうございました！ (2016年12月14日 14時) (レス) id: 92e94bc51d (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうジュース(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様です！ずっと見続けていたシリーズだったので、にやにやしつつ寂しい気持ちです…。短編でまた、可愛い男主くんとeoheohさんのお話が読めることを楽しみにしています！ (2016年12月14日 2時) (レス) id: d5cf48f873 (このIDを非表示/違反報告)
長閑(プロフ) - みことの神隠しさん» ありがとうございます！最近更新が遅くなりがちですみません(´・ω・｀)更新頑張ります、読んでくださってありがとうございました！ (2016年10月3日 2時) (レス) id: 83e5a293f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：長閑 | 作成日時：2016年7月7日 0時
