隣(ht) ページ6
※名前変換なし
「ねえ」
やってしまった、と思った時にはもう手遅れだった。
「隣歩かないで、もう少し後ろさがって」
従者の中では、有名な話だった。
「ひとらん様は女嫌いのようですよ」
「女性は決して隣を歩かせないの」
「身分は関係ないわ、だってこの前、兵士さんとは仲睦まじく並んでらっしゃったもの」
そんな会話をしているのを、何度か聞いたことがあった。
私はひとらん様の婚約者。国家同士の関係の為に、籍を入れることが決定していた。いわゆる政略結婚。
そんな私には街中を幹部様と二人で歩く機会がそれなりにあった。そこでわかったことだが、この国の幹部様達は基本的に身分を気にするような方々ではない。隣に誰が並ぼうと分け隔てなく接する方ばかりだ。鬱様やオスマン様のように従者相手だろうと町娘だろうと丁重なエスコートをされる方もいる。
だから、ちょっと忘れてしまっていたのだ。ひとらん様は女性が横に並ぶのを嫌うということを。
「申し訳ございません」
私が言われた通り一歩下がると、ひとらん様はもう少し、と催促した。一歩、そしてもう一歩下がるとひとらん様が声を発した。
「うん、その距離。守ってね」
だいたい三歩。それが私に許された距離らしい。婚約者だと言うのに、あんまりではないか。彼もまた、身分は関係が無いらしい。例え婚約者だろうと、特別扱いはありえない。いつまで経っても想いは一方通行だった。
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青条(プロフ) - とぴあさん» その通りです、よくお気づきで！私がその短歌が好きなのでタイトルにしてしまいました (2021年11月14日 0時) (
レス) id: 3b14859680 (このIDを非表示/違反報告)
とぴあ - knさんの「回れよ回れ」ってもしかして、栗木京子さんの短歌ですか？ (2021年11月14日 0時) (レス) @page22 id: 9545a37ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青条 | 作成日時：2021年11月13日 1時
