とても穏やかな、 ページ6
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(#2と穏やかな時間)
コトリと、机にマグカップを置く音が響く。
ひどく静かなこの部屋が、煎れたばかりのコーヒーの匂いで満たされていく。
雑務室。勝手に私がそう名付けて、わかりやすいように表札も設置した。元々、昔の書類や今は不要なものなどを置く物置として使われていた部屋だ。
埃まみれ、物まみれで、整理や掃除は大変だったが、今はこの場所を作ってよかったと心の底から思う。
すっかり自分の物で溢れるこの部屋は、期間限定で解禁される特別なものだ。
というのも、普段の仕事は他の事務員の方と同じ事務室で行っているから、この部屋を使うことがない。それに、この部屋を使うときは私が"雑務係"として頑張るときだけにしたいという思いがあるからだ。私にとって、この部屋は大切で、特別なものである。
「はい、熱いので気をつけてくださいね。」
「ありがと〜」
もう一つのマグカップを向かいに座る小野寺くんの前に置く。この雑務室には、時折誰かが訪れてくれるのだ。そうして、訪れた人と過ごす時間は穏やかに流れていく。私はこの一時がとても好きだ。
なかでも小野寺くんはよくここに来てくれる。
以前、「ここ落ち着くからお気に入りなんだよね」と言って、へにゃりと笑った小野寺くんだが、彼からどことなく感じるマイナスイオンに私の方が癒されているのだ。
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午睡(プロフ) - RIOさん» ありがとうございます…!!( ; ; ) (2021年10月9日 11時) (レス) @page10 id: 95250c6930 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらっています!めっちゃいいお話ですね!!!更新頑張ってください! (2021年10月3日 23時) (レス) @page9 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午睡 | 作成日時:2021年9月26日 3時