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あのメールから数週間後。
「今日は顔合わせと、今後の諸連絡だけだから会議室集合」という知らせを受け、私は会議室の少し重い扉を開けた。
集合時間よりも早く到着したからか、監督やコーチ、マネージャーの方々しか席に着いていない。
「お久しぶりです。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしく。今年も頼むよ。」
中垣内さんにお辞儀をして、それから握手をする。関係者の方にも挨拶をし、私は用意されていた自分の席に座った。
私が、男子バレーの日本代表チームの雑務係として声をかけてもらうのは二度目になる。
マネージャーでも、アナリストでも、トレーナーでもない。強いて言うなら、その方々のサポートをする人間か…。いや、烏滸がましいな。やっぱり雑務係がしっくりくる。
書類作成から合宿中の買い出し、お茶汲み。なんならパシリもやります。もうなんでもやります。まさに雑務係。
一人くらいはこういう人間がいた方が色々スムーズだろうということで、NTCで事務仕事をしていた私に声がかかったのだ。とても光栄なことである。
袖を少しずらして、腕時計で時間を確認する。集合時間が近づいてきた。
会議室の扉が開かれる音がして顔を上げると、数人の選手が会議室に入ってくる。その内の一人とばっちり目が合った。彼は私だと気づいたようで、目をキラキラさせて手を振ってくれる。それが嬉しくて、私も控えめに手を振り返した。
彼はニコニコしながらこっちを指さして、一緒に入ってきた選手にも私がいることを教えている。私はその様子に苦笑いして、久しぶりだなあと、懐かしく思うのだ。
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午睡(プロフ) - RIOさん» ありがとうございます…!!( ; ; ) (2021年10月9日 11時) (レス) @page10 id: 95250c6930 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらっています!めっちゃいいお話ですね!!!更新頑張ってください! (2021年10月3日 23時) (レス) @page9 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午睡 | 作成日時:2021年9月26日 3時