こんなに柔い棘ひとつ ページ22
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機捜用車に乗って密行を始めてから数時間。辺りは薄暗くなり始めた。
伊吹が運転席、志摩は助手席で私は後部座席にそれぞれ座っている。それにしても伊吹がよく喋る。話を振る伊吹に志摩が返事をして、それを他人事のように聞いていたら私に話が振られて、を繰り返すのだが、話題提供はほとんど伊吹。本当に犬属性というかなんというか…。
「つーかさあ、Aちゃんは急な異動で色々と大丈夫だった?」
「んー…、まあ、何も問題ないよ。機捜から機捜の異動だから特に心配もなかったしねえ。」
「…そっか、ならよかった!あっ、そう!心配といえばなんだけど〜、志摩が〜、」
「待て待て待て、…お前は今から何を言おうとしてる?」
「何って?志摩が〜、Aちゃんのことを〜、すっごくしんぱ、」
「前を見て運転しろ余計なことを言うな今すぐその口縫うぞ」
「うわあ、ノンブレス…」
運転していなかったら、確実に志摩に掴みかかられている。どうしてこう、怒られるギリギリのラインを攻めたがるのだろうか。いや、今のはギリギリどころかガッツリアウトっぽいけども。志摩の眉間の皺がすごい。
「志摩が心配してくれたって話ね、わかってるわかってる。」
「わかるな。心配してない。」
「この間は、素直に"心配なんだよ"って言ったくせに〜?私はしっかり覚えてますけど〜。」
「……言ってません、」
「志摩ちゃんさあ、こういう時だけ嘘下手だよね〜」
「だよね〜」
「…お前らはこういう時だけ仲良いよな。」
「え、志摩ちゃんヤキモチ?」
「は、なんで?妬かねえよ。」
志摩が、心底意味がわからないというように言う。なんでもない会話の一部。そのたった一言に胸を痛める必要はないのだけど。
どうしようもなくなった私が零した、小さな小さな"でしょうね"の声は誰にも聞こえていなかったはずだ。
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みず。(プロフ) - 樹さん» はじめまして!たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます…!励みになります!! (2020年10月11日 17時) (レス) id: 8c2fd9630e (このIDを非表示/違反報告)
樹 - はじめまして。菊の花に縋る、MIU夢の中でも一番に好きな作品です。初めから読み直しては毎回志摩さんと主人公さんの距離にきゅんとしています。評価の星が複数回押せないのがもどかしい!続き楽しみにしています。 (2020年10月11日 8時) (レス) id: c294f25bdb (このIDを非表示/違反報告)
みず。(プロフ) - リトルバードさん» はじめまして!とても嬉しいです…!ありがとうございます!! (2020年10月6日 20時) (レス) id: 8c2fd9630e (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - みず。さん、はじめまして!主人公ちゃんと志摩さんの微妙な関係がすごく現れていて読んでてキュンキュンしました!更新楽しみにしています! (2020年10月6日 18時) (レス) id: fd0b490cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:静 | 作成日時:2020年9月21日 23時