つまりは君のことが ページ6
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｢で、今度はなんて言われたの？｣
｢"Aちゃんって、仕事してる時の方が楽しそうだよね。"｣
｢いつものやつじゃん。｣
少し呆れたように言う石川くんをジト目で見ながら、ダンッと勢いよくジョッキをテーブルに置く。
"おー、怖っ"なんて言ってる石川くんはもう無視だ。
"仕事をしてる時の方が、俺といるより楽しそう"、そう言われて振られるのは一体何度目だろうか。もう数えるのもやめてしまった。
｢実際、マネージャーやってる方が楽しいんでしょ？｣
｢…うん。｣
｢なら別にいいんじゃないの。わかってくれないやつと付き合うことないよ。｣
ごもっともです、ええ。
今だって、こうして別れてもすごいダメージを受けているってわけじゃないのだ。ただ、なんとなく釈然としないというか、なんというか。
｢もうこの先独身の未来しか見えてこない…｣
｢はやいはやい。｣
｢孤独死する……｣
｢いやだから、はやすぎるって。｣
"だって〜"と項垂れると、石川くんは少し考える素振りをしてスマホを取り出し、何か文字を打ち込むような操作をする。その途中、すごく必死に笑いを堪えていたがなんだったのだろうか。それから数分もしないでスマホを傍らに置いた。
｢良かったな、A。｣
｢え、なにが？｣
｢諦めるのはまだはやいってこと。｣
｢……え？？本当になに…？｣
ニンマリ笑う石川くんだが、私は全くなんのことかわからない。聞き出そうとするけど、"まあまあ、もうすぐわかるって"と言って誤魔化される。
私は渋々引き下がって、取り敢えずお酒に口をつけた。
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作者名：午睡 | 作成日時：2020年9月16日 22時
