星が還る場所 ページ4
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恋人の勇姿をテレビ越しでしか見られないというのは、少しばかりもどかしいものだ。
コート上の彼の姿を目で追いかける。かっこよくてきらきらしてて、"こんなにも私の恋人は素敵なんだぞ"と誇らしい。
ほんのり寂しさも感じるけど、バレーをしてる太志の笑顔を見たらそんなのすぐに掻き消されて、私もつられて口角が上がる。
ボールを強く叩く音が響いて、太志のスパイクが相手コートに叩きつけられる。
熱い実況と解説、太志の仲間の声がテレビの向こう側から聞こえてきた。やっぱり太志はくしゃっと笑顔を零して、ガッツポーズをする。
ライトに照らされて、きらりと首にかかったリングが光る。さっきのプレーでユニフォームから出てしまったみたいだ。私の首にも同じものが輝いている。
太志は一度だけ、ぎゅっとそのリングを強く、大切そうに握りしめて、またユニフォームの中にしまった。
その仕草に私の胸は一杯で、同じようにぎゅっとリングを手で包んだ。
テレビの中継は試合と共に終わり、違う番組に変わったところで私はテレビの電源を消した。
すっかり静かになってしまった。そんな家の中でしばらくの間ぼうっとしていると、またほんの少しだけ寂しさの波が押し寄せてくる。
すると、静けさを切り裂くように着信音が鳴った。表示された名前を見てすぐに出る。
｢もしもしー。試合、お疲れ様。｣
｢ありがと。見てくれてたの？｣
｢うん。すごいかっこよかった。｣
月並みな言葉しか言えないことが悔しいが、太志は声を弾ませて、"ありがとう"と微かに照れを含んで言う。
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作者名：午睡 | 作成日時：2020年9月16日 22時
