お日さまの匂い ページ15
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ご飯を食べたあと、二人でソファに座って、テレビもつけずに他愛もない話をする時間が好きだ。
太志のやさしくて心地いい低い声が部屋に響くと、心が満たされる。
今日もそうやって二人で話していたら、ふと太志が不安げに私を覗き込んで"あのさ、"と言う。それがいつもと違ったから私はなんだか緊張して、体ごと太志の方を向いた。
｢なんていうか…その、寂しいとか、思ったりする……？｣
思わずきょとん、としてしまった。そんな私の表情を見て、"聞き方間違えた…"みたいな顔をする太志に、なんとなく察しがつく。
ここ最近は日本代表として試合に出たり、Vリーグの試合があったり、とても忙しい時期でほとんど顔を合わせることはなかったから、それを気にしていたのだろう。寂しい…寂しいかあ……。
｢そうだなあ…。まあ、そりゃあ会えないと寂しいよね。｣
｢だよね…。｣
太志に会えなくても寂しくない、なんて私は思ったことがない。でも、私は太志に向かって"寂しい"と口にしたことはなかった。多分、それが余計に太志を不安にさせたのだと思う。
しょんぼりする太志の両頬に手を添える。
｢寂しいって思うけど、それ以上に私はバレーをする太志も好きだから。好きな人が好きなことを一生懸命やる姿に、やめてほしいとか、嫌だなあなんて思わないよ。｣
私は、太志が好きなんだから。
そう言うと、太志が私の腰に腕を回して隙間なく抱きしめてくる。私も大きな背中に手を回した。太志は鎖骨辺りに顔を埋めて、"も〜〜"と呻いている。背中をぽんぽん叩いてあげた。
｢もう、ほんと、無理。好き。｣
｢うん、私も好き。｣
くぐもった声で伝えられた言葉に、太志がいっぱいいっぱいになっているのがよくわかる。全く、愛しくて仕方ない。
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作者名：午睡 | 作成日時：2020年9月16日 22時
