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日用品を買い足しに行って寮に帰ってきた。買ってきたものを棚などに置いて片付け、ソファにだらんと座り込む。
テーブルに置いたスマホがピコンと音を立てて、メッセージがきたことを知らせた。チームメイトからだ。アプリを開く間にも二つほどメッセージが送られてくる。急ぎの用だろうか。
内容は"ねえ!ちょっと!ツイッター見た?!"というもので、"なんかあったの?"と聞くと、誰かのツイートのスクショが送られてきた。
拡大してみるとアカウント名は小野寺くんで、私は驚いて思わずソファから立ち上がってしまった。
ツイッターを開き、小野寺くんのアカウントを表示して、チームメイトが送ってきたスクショと同じツイートを見つける。
彼が引用リツイートしていたのは、昨日公開された私のインタビュー動画のツイートだ。
なんでだ…?と不思議に思うが、すぐに思い出して理解する。そうだ。この動画、私が小野寺くんの名前を出したやつだ。
顔が熱くなったり、一瞬で冷めて冷や汗が伝ったりが何度か繰り返される。見られてしまった。本人に届いてしまった。
恐る恐る小野寺くんの打った文を読む。
"自分が尊敬してる人から、とても嬉しい言葉をいただきました。僕もお話聞きたいです。"、可愛い絵文字付きでそう書かれていた。夢かと思って頬を抓ったがちゃんと痛い。現実だ。
色んな意味で泣きそうだったがなんとか堪えて、一生懸命言葉を絞り出しながらリプを送る。
"お名前出させていただきました…。嬉しいです!是非!"
送信するボタンを押して、緊張で詰まっていた息を吐き出す。スマホをぎゅっと握りしめて、やっぱり夢みたいだなあなんて胸がいっぱいいっぱいになった。
数分後に送られてくる小野寺くんからのDMに、やっぱり都合のいい夢なんじゃ?と自分の頬を思い切り叩いたのだが、これもちゃんと痛かった。
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作者名:午睡 | 作成日時:2020年9月16日 22時