No.10 ページ10
◇
「……殺しちまったのか」
彼の声は思いのほか冷静だった。
足元にいる血塗れの男二人を見るよりも、私の手や顔を見てより一層眉間に皺を寄せられた。
「ええ。この島では殺しは御法度なのにね」
ドン引きされて逃げられる想像をしていたからこそ、予想外の反応に拍子抜けし、どこか気持ちが落ち着いた自分がいた。
上手く、笑えているだろうか。
「捕まれば最後。死んだ方がマシだと思うような罰が下されるんだって」
恐ろしいよねって笑ったところで彼の険しい顔は変わらなかった。
「……いっそ、この島を出て行くか。または、」
――――見せつけるようにこの島で死んでやろうかしら。
アドレナリンが分泌されて興奮状態になっているのだろう。普段言わないような言葉を発し、どこか気分は高まってきているような気がした。
「……」
彼が一言も話さず沈黙が続く中、ふと、オーナーの顔が頭を過った。
馬鹿みたいに大口開けて笑うオーナーがチラついた。
……ああ、だめ。自分の行動に後悔なんてしたくない。自分も必死だったんです、なんて。
泣いては、だめだ。
「一日目だというのにごめんね。あと六日間、オーナーと二人で頑張って」
水場の蛇口を捻り、手を洗う。
なかなか落ちない汚れ。石鹸も付けてくれていたらいいのに。私洗顔は牛乳石鹸派なんだ。でも手を洗うならワンプッシュの泡タイプがいい。関係ない話だよ。
――すると、月が雲に隠れたのか少し暗くなる。と思いきや、後ろから回された手の持ち主が影になったようだった。
「……俺と一緒に、海に出ねェか？」
抱き締められていた。
微かに声は震えていた。
悲しそうに、優しげに、守るように。
「この島を出るんなら、いくらでも手を貸してやる」
――甘い蜜に誘われて、蝶は自ら花に食われていくのだろう。私には、そんな言葉に縋ってしまうほど、脆弱な生き物であったのだと思い知らされた。
◇
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碧崎(プロフ) - にんじんさん» ありがとうございます！！！わああ嬉しい。拘った所を注目していただけてとてもとても嬉しいです！！！！頑張ります！！ (2022年1月27日 23時) (
レス) id: 4e74b8229e (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 凄く引き込まれるストーリーで感動してます。船に乗るシーンの描写と店主へ想いを馳せる所にグッときました！これからも頑張ってください！ (2022年1月27日 20時) (レス) @page12 id: 9689beb0ab (このIDを非表示/違反報告)
碧崎(プロフ) - えんぴつさん» コメントありがとうございます。それはとても言い訳できないご指摘ですね💦全て曲を丸パクリするつもりはありません。この曲を聴いて思いついたものなので、類似してしまう恐れがあるため記載させて頂きました。ご指摘を踏まえ検討致します。 (2022年1月27日 19時) (レス) id: 4e74b8229e (このIDを非表示/違反報告)
えんぴつ(プロフ) - 他社の曲をもとに二次創作するのはやめた方が良いと思います…。 (2022年1月27日 19時) (レス) id: 764e5730fb (このIDを非表示/違反報告)
碧崎(プロフ) - ミサキさん» ありがとうございます！！そう言って頂けると本当に嬉しいです！頑張ります！ (2018年9月25日 23時) (レス) id: 7dc4f8a1d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧崎 | 作成日時：2018年9月17日 15時
