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封を開け、便箋を取り出すと岸くんは
「 ん? 」と小さく声を漏らした。
「 あれ、この絵って ‥ 」
「 もしかして前にも何回か送ってくれました??ファンレター 」
‥ 目に留まってた。
ちゃんと、岸くんの目に留まってたんだ。
『 はい、! 』
岸くんが放った言葉に嬉しくて泣きそうになる。
「 この絵、ちびキャラみたいなの ‥ 俺っすよね?メンバーとも話してたんすよ!めっちゃ俺に似てね?!って(笑) 」
『 え?! 』
「 あと、俺のLINEの画像 ‥ 勝手にそのキャラにしちゃってます!さーせん! 」
まじで俺のお気に入りなんすよ!勝手に!と
続ける岸くんに、私の頭はショート寸前。
目に留まれば充分、そう思っていたのに
まさかまさかの岸くんのLINEのトプ画 ‥
もう本当に現実なのだろうか。
「 まさかあの絵を描いてくれてた子にこんな風に出逢うなんて、キセキっすね!まじで! 」
わたしもそうとしか思えない。
今は、キセキ以外の他の言葉が思い浮かばない。
『 ‥ こうやって岸くんと出逢えたってことだけでもとても幸せなことなのに、わたしが描いた絵を、気に入って下さってたなんて、もう幸せ過ぎます。ほんとうに。 』
「 えあ、そんな風に言われると照れますね ‥! 」
頭を掻きながら照れ笑いする岸くんが
可愛くて可愛くて、わたしも釣られて笑った。
「 あ、やべ。撮影! 」
「 寒い中、引き止めちゃってごめんね! 」
『 いえ、いえいえ!これからお仕事です ‥よね?頑張ってください、! 』
「 ‥‥ なんかよくわかんねぇけど、Aちゃんとはまた会える気がする 」
『 そんな!夢みたいなことありますか、?! 』
「 あると思う!直感すけど!俺の直感結構ガチなんで! 」
岸くんが言うと本当にありそうで期待してしまう。
「 ファンレター、まじあざした!このあとぐうじさんといわげんにも今日のこと話すね! 」
「 んじゃ、またいつか! 」
わたしに喋る隙を与える前に岸くんは
手をブンブン振りながら走り去っていった。
多分数分しか経ってないだろうけど
色々なことがありすぎてその場に突っ立ってしまう
本当にこれは現実なのだろうか。
何回も思ったそれを確かめるために
わたしは頬をつねった。
『 ‥ いたい 』
やっぱり現実なんだ。 夢じゃないんだ __
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作者名:あおぴー | 作成日時:2017年3月13日 13時