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『すいません、夜遅くに...』
「んーん。全然ええよ。」
いつもより小声で、それでも変わらない龍友さんの声が耳元にあてたスマホから聞こえてくる。
緊張してるのは関係が少し変わってしまったからだろうか。
『っあの、りんごジュース置いてくれたのって...龍友さんですか?』
「...残業お疲れさん。美味しかった?」
『......はい、美味しかったです。』
「ならええけど。」
龍友さんの表情は見えないけど、ふんわり笑ってる気がした。
龍友さん、だったんだ。
ギュッと片手でりんごジュースを抱きしめる。
なんだか勿体なくて飲めない。
『本当にありがとうございますっ』
「ううん。よお頑張ってたし。」
『...よかったら、今度お礼に』
「龍友?...誰と電話してるの?」
『あ、』
電話の奥から女の人の声がして、誰かなんてすぐにわかる。
...篠田さんに決まってるよ。だって、恋人なんだから。
龍友さんがそれに対して何か返事をしているのも聞こえない。
あーあ、また一気に底に落とされちゃったなあ。
ふたりの会話を聞きたくなくて、何も言わず電話を切った。
しばらくは、ふたりの声が耳の奥から離れなかった。
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ちょりこ(プロフ) - なかなか龍友の話が見当たらなくてのこのお話はとても面白かったです! (2020年2月25日 8時) (レス) id: 5d7662bc4f (このIDを非表示/違反報告)
る - すごく好きでした! (2019年3月26日 10時) (レス) id: 00700fe21d (このIDを非表示/違反報告)
心音(プロフ) - 全て読ませていただきました! とても良いお話でした!! (2019年3月25日 1時) (レス) id: f04cf3a636 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。 - お久しぶりです。 もう、涙が止まりませんでした。 とにかく裕太君が優しすぎて、龍友くんが切なすぎて… 色々言いたいことはありますが、こんなにも最高の作品を書いてくださりありがとうございました! (2019年3月17日 1時) (レス) id: ec1ebb61a0 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんあや(プロフ) - 最っ高によかったです!forYou…も大好きな曲だし龍友くんも大好きだし、なにより裕太くんの優しさに持っていかれそうになりました笑 (2019年3月12日 23時) (レス) id: 9e0d1bf52d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2019年2月23日 21時