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『ただいまぁ...』
玲於「わ、おかえり...ってどこ行ってたのさ」
『トイレー』
玲於「ふーん。あ、そう言えばね」
『うん?』
玲於「このあと、皆と工藤さんでご飯行くんだけど来る?」
聞きたくなかったその言葉。
中務さんもいるだろうなぁ。
何より、仲のいい2人を間近で見ることが嫌だ。
『...今日は用事あるから。』
玲於「えー、つまんね。じゃあ今度サシな。」
『わかったー』
逃げたくて逃げたくて。
この場からも、2人の前からも。
もうわかんないよ...っ。
痛む胸元をぎゅっと握りしめた。
「なぁ、」
『っはい...?』
「今日、飯来るん?」
視界の上の方で赤が揺れている。
心を掻き乱すその赤。
『いえ、今日は用事があるので』
「...そ。」
「裕太くんっ!良かったらお店まで一緒に行かない?」
平然と嘘をつく自分に戸惑いつつも、その場を乗り切れたことにホッとした。
そこでこちらに駆け寄ってきたのは工藤さん。
...ここにいたくないなぁ。
中務さんの笑顔と、工藤さんの控えめな笑い声。
"連絡先、交換しませんか?"その声に、遂に耐えきれなくなってしまった。
自分の荷物とコートを持って、帰る支度を始める。
『...お先に失礼します。』
「っちょ、」
『お疲れ様でしたっ』
呼び止める声なんて知らない。
今頃、2人の距離が今よりもっと縮まっていると思うと夢見心地が悪かった。
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蓬 - 心にストンと落ちてくる葵子さんのお話にいっつも助けられてます。更新大変かと思いますが頑張ってください!応援してます! (2018年8月17日 1時) (レス) id: db0c6e08f6 (このIDを非表示/違反報告)
さちまる◎ - とてもおもしろかったです!佐野くんのお話も見てみたいです。これからもがんばってください!更新楽しみにしてます!! (2018年3月30日 18時) (レス) id: ed9abe364f (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 莉愛さん» わあああ!!めっちゃ嬉しいです...!(;Д;)(;Д;)ありがとうございますっ!!本当に励みになります! (2018年3月27日 23時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
莉愛 - 言い忘れてました(汗)初めまして!更新頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 936ea7fe0b (このIDを非表示/違反報告)
莉愛 - 私、この作品大好きになりました!これからも葵子さんの素晴らしい作品を期待しています!頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 936ea7fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年3月9日 17時