賞味期限。

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_Ryuto side_








ボスン、と勢いよく自分の部屋のベッドに寝転ぶ。

今日は濃い1日だったなあ。

僕の脳裏にAの泣き顔がチラつく。



あの時、本当に僕の頭の中に優はいなかった。

Aで頭はいっぱいで、カフェでの出来事も忘れるくらいに楽しんでいた。


人って単純だ。それとも僕の都合が良すぎるのだろうか。


僕と優には可能性がほとんどない。
でも彼女と僕には可能性がある。

僕がその可能性を殺してしまうのは、あまりに寂しかった。


現に僕は片想いだったし、これでAを好きになれたら...その可能性に委ねたのだ。


彼女を傷つけることがたくさんあるのは自覚している。
そんな時に決まって心を埋めるのは、この関係への罪悪感と中途半端な自分への苛立ち。


好きな物を好きじゃなくするのは難しい。
好きなことを辞めるのは難しい。

恋もきっとそう。


一生懸命、優の背中ばかり追いかけて。
振り返ることを知らない僕は、見えなくなった背中以外に何を頼って走るのだろう。


僕を後ろから呼ぶAの声に、やっと気づいたのが今日なら。

僕が走り疲れて足を止めて、風の音みたいな彼女の声に振り返る日も来るのかな。


そんな日が、来たらいいのに。


僕はゆったりと瞼を閉じた。









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