賞味期限。

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_Ryuto side_








『美味しかったですっ。ありがとうございました！』


きっちり90度まで腰を折って礼をするAに思わず笑ってしまう。
あー、ほんまに飽きへんなあ。

見てるこっちまで感情豊かになる。


クレープを食べる時の膨らむ頬とか、数原さんって僕を呼ぶ可愛い声とか、僕のせいで赤くなる肌とか。

正直、女の子らしくてドキドキした。


なんだかこんな関係になってから彼女を意識することが増えた気がする。

僕も前に進めてるのかなあ。



「また行こうや、僕も気に入ったもん。」

『い、いんですか...？』

「たまには糖分も必要やなあーって思って。」

『...はいっ！』



そうやってAが嬉しそうに笑って、照れ隠しで耳に髪をかける。
もう僕にはお見通しやからね。



「ほれ、」

『...ほれ、とは......』


「手、繋がへんの？」

『繋ぎたいですっ』

「素直やねー」



するりと手を絡ませれば満足そうなA。

その顔に胸が擽ったくなる。なんだろ、この感じ。
僕にはちょっと難しい気持ち。

気づけば体は動いていて、今更止まることなんてできない。


僕らの影はほんの一瞬重なった。そのほんの一瞬が、1分、1時間...とにかく長く感じた。









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