賞味期限。

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_Ryuto side_








篠田「その映画が本当に良いの」

「へえー、映画好きなお前が言うなら相当やな」



広い楽屋に、狭い距離で収まる僕達は周りからどう思われているんだろう。

ぼんやりと頬杖をつきながら、穏やかな笑みを浮かべる優と会話をする。


どうせ、その映画も彼氏と見に行ったんやろ。

声には出せない本音は胸の内に留めておく。



篠田「彼氏もね、隣で泣いちゃってて」

「...ふーん。可愛いやんか」



ズキズキと痛む胸が勘弁してくれと声を上げている。
バレないように浅い溜息を吐いて視線を楽屋の隅にやると、裕太くんとなにやら話しているAの姿。

Aの顔は真っ赤で、すぐに眉を下げて嬉しそうな顔をする。



...面白くない。自分の眉間に皺が寄るのがわかる。

一途な僕はどこへやら、欲張りが全面に出てしまっている。



僕にだけだと思ってた、そんな顔するの。


きっとAからしたら、僕と優が話してるこの状況は面白くないんだろうなあ。

しっかり交わった視線は相手の方から逸らされてしまい、僕だけ取り残されてしまった。


寂しげに俯くAの顔、それに焦る自分、痛む自分の胸に、なんでこの時知らないふりをしたんだろう。









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