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「あれ、まだ残ってたん?」
楽屋でぽつんと1人、レコーディングが終わるのを数時間待っていたところ。
数原さんがひょこっと楽屋のドアから顔を出す。
...あざとい。
『い...一緒に、帰ろうと...思いまして......』
「ふふ、なんでそんな緊張してるん」
おかしそうに笑いながらコートを着始め、私も焦ってそれに続くように上着を着る。
私がマフラーに手を伸ばすと、先に数原さんがマフラーを手に取った。
私は数原さんを見上げてその行動を不思議に思っていると、数原さんは私の首に優しい手つきでマフラーを巻く。
『...え、っと』
「帰る準備のお手伝い。」
ほんっとにこの人は!!!なんでこう、可愛いことをするのかな?!!
思わず頭を抱えそうになる。
『......これ、奥さんが旦那さんにネクタイ付けてあげるのと同じですね』
「それ僕も思った」
最後に軽くマフラーに触れて、楽屋のドアの前で数原さんは立ち止まる。
「待っててくれてありがと。」
ほら、帰るで。と、真っ赤になった私を置いてきぼりにして先に行ってしまう。
...私だって、負けないぞ。
よし、と意気込んで後を追った。
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みん(プロフ) - 素晴らしい文章力で、引き込まれます!ありがとうございます! (2019年5月20日 9時) (レス) id: f912ed750b (このIDを非表示/違反報告)
ARM26(プロフ) - すごく好きです…!こんなに引き込まれて一気に読んだのは初めてです!これから続編読むのですが楽しみ半分、終わりに近づいてる寂しさ半分…終わりまで楽しませていただきます! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 6024ec169a (このIDを非表示/違反報告)
GENE love - 葵子さん» 賞味期限2も読ませてもらいました! ほんまに泣きました。 ほんまに体験してるみたいな気分になって切なくなって感動です! 頑張ってください! (2019年1月13日 20時) (レス) id: 1e4df9a365 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。(プロフ) - 愛故にを読んでるとき号泣してたので、ハンカチ用意しときます。真顔 (2019年1月13日 14時) (レス) id: 52e976e0eb (このIDを非表示/違反報告)
葵子(プロフ) - 釈迦で~す推し。さん» これからもっと切なく......(;Д;)(;Д;)← (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6b76cfea77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2018年11月25日 18時