ガンマンと子狐 (ページ10)

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第九月脱出ページ10

「ルパン､今のうちに逃げましょ！」

「ああ｡五右衛門､ここの壁を切ってくれねぇか?」

「承知」

Aの止血も終わり､脱出に移行したルパン達｡五右衛門の斬鉄剣により､鋼の様な壁はいとも簡単にポッカリと穴を開け､外の闇をのぞかせていた｡
曖昧な意識の中､Aはその穴を虚ろな目で見詰めた｡

「おい､次元！ずらかるぞ！！」

「おぉ､この一発をぶち込んだらっと｡」

次元と呼ばれた男とトニーの攻防はもう収束がつく手前であった｡
右肩と右足を弾で貫通されていたトニーとは反対に次元は無傷であった｡

扉近くに息を潜めていたトニーに向けて撃った最後の1発は少しそれたが､脇腹に直撃した｡

「..今のはAの分だ｡」

そう言うと､ルパン達の元へと歩み寄る｡Aは気絶をしており､五右衛門が背に背負っていた｡

「ほら､急がないと！まだAの傷は塞がってないんだから！！」

「もーわかってるよ不二子ちゃん｡ほら五右衛門､さきに行きな｡」

「あぁ｡」

そう言って五右衛門が穴から飛び降りようとしたとき､壁にナイフが刺さった｡

「お前､まだ生きて！？汗」

「おいおい次元､ちゃんと息の目止めとけよ！」

そう､数箇所撃たれしんだ筈のトニーは､右足を床につけながらもちゃんと立っていたのだ｡

「っくく､僕も一応人間じゃないんでね｡でもこの感じからすると数日は動けないかな｡」

ケロリとした顔で笑うトニーに､一同は恐怖を感じだ｡

「まー､今回は不利だし見逃してあげるよ｡でも､次は絶対Aを取り返して､君達を無茶苦茶にしてあげるから(黒笑)」

そういったトニーは､ポケットから手榴弾を出し､こちらに転がしてこた｡急いで四人はそこから飛びをりなんとか爆風から逃れた｡

穴が空き､まっ黒焦げで所々燃えている壁に近ずき下を見たトニー｡しかし眼下にはもう五人の影はなく､その瞳に写すことは無かった｡

「ｯｸｯｸｯｸ､次逢えるのが楽しみだ(ﾆﾔ)」

悪魔の様なその笑い声は､月夜だけが照らす夜の闇に溶け込んでいった────────