ガンマンと子狐 (ページ8)

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第七月焦りページ8

Aの頭の中に様々な光景が流れ込む｡

────とある仲のいい夫婦

────床下にある隠し金庫

────黒ずくめの男達の奇襲

スラスラと紙に書付けていくA｡ほとんど無意識のうちに手が動いているようで､彼女の目はまだ閉じたままだった｡

書き終えた内容を向かいに座るトニーに渡し､下に俯く｡今見た内容など興味はなかった｡ただ､今私を迎えに来てくれたというルパンが見つからないかと焦っていた｡
トニーという男は恐ろしい程に感が鋭く､いつ見つかるかわからないのだ｡

「なかなか面白い内容だね..(ｸｽ)」

一通り読んだトニーは､懐から携帯をだしメールを誰かに打っているようだった｡メールを打つ彼の表情は､おもちゃを見つけた子供のように生き生きとしており､満面の笑みを浮かべていた｡

「あ､そう言えば今日この館内に泥棒が入ったんだよ｡」

『ッツ！？』

唐突にそんなことを言うトニー｡焦りを感じたAは､無意識に袖に隠している短剣を握る｡

「なんでも有名な泥棒らしいんだ～｡なんだったけな､アルセーヌ・ルパンだったかな～?」

ニコニコ笑うトニーの目は､獲物を狙う猛禽類のように怪しい光を宿していた｡

「今もこの施設の中にいるはずなんだけど､見つからないんだよね～｡」

そう言うと椅子から立ち上がった彼は､Aのところまで近ずいてきてそっと耳に口を寄せる｡

「..もしかして､君がクローゼットに隠してる赤いお猿さんかな?(ﾆﾔ)」

瞬時に握っていた短剣を振るうも､当たった感触はなくトニーはクローゼットの前に移動し扉を開けた｡ギュウギュウ詰めに入っていたため､四人が一斉に中から飛び出してきて床に突っ伏した｡

「うぉ！?汗」

『ッツ！？』

「ひゅ～､あったり～♪」

四人を見たトニーは､裏ポケットから拳銃を取り出しルパンに銃口を向けた｡そうはさせないと､手に握っていた短剣をトニーに向けて投げたA｡トニーはそることで投げられた短剣を避けた､その隙に懐に回り込みアッパーを食らわす｡やはりそれも避けられ､トニーは数m先に飛び退いた｡
この間数十秒の出来事であり､四人はただただ唖然とその光景を見ることしか出来なかった｡

「んー､今の攻撃はなかなかのものだったよ｡でも､やっぱり詰めが甘いね(ニコ)」

『ｯクァｯ..ｯﾂ.！』

さっきのカウンターを避ける際にトニーは､Aの背に刃を突き刺していた｡

「「「「A！！」」」」