ガンマンと子狐 (ページ6)

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第五月希望ページ6

「私､ですか..！？」

Aは驚きで二重の大きい目をさらに大きくさせた｡

「で､でもなんで､っ.....」

そこまで言って言葉を飲み込んだA｡

そうだ､私は予知能力を持っていてそれを誰だって手にしたいはず｡
要は､目の前にいるこの男も､私の能力ほしさ｡

所詮私は悪者の道具で切り札の駒の様なものなんだと.....｡

「..そんなに､私の能力が欲しいですか....｡」

再び目から大粒の涙を流し出したA｡

ルパンや女の不二子さえも魅入ってしまうほど､Aの涙を流す顔は美しかった｡

「そんなに､そんなに私の能力が欲しいのなら､私､私は......｡」

Aはそう言って即座に懐に隠し持っていた短剣を自分の喉に突き刺そうとしたが､ルパンがそれを阻止した｡

短剣を握っていた小さな手は震えていた.....｡

「勘違いしちゃいけないぜお嬢ちゃん｡俺はたしかに君の能力は一目かっているが､そんなことで盗み出そうとしてるんじゃない｡」

さっきまでのヘラヘラとした顔ではなく､真剣そのものな顔をしたルパンにAもじっと見つめた｡

「実はな､君のお父さんとお母さんとは仲が良かったんだよ｡」

「！？」

目の前にいるこの男がそんなことを言うとは思わなかった｡

何年も父母の事を忘れていたAにとっては突然のことで､フリーズしかけた｡

「それで､もしふたりがし､んだ時には俺が君を引き取るって事になってたんだが､引きとり日当日には君はいなくなってるはで､今まで長い間探してたんだよ｡」

最後の方はルパンに覇気はなく､少し困った顔をしていた｡

Aは別の涙が流れた｡

長い間､今まで誰1人自分のことを探してる人はいないと思っていたのに､ここに1人いた事に嬉しいのやら悲しいのやらで止めどなく流れていた｡

「ごめんな､長い間こんな所で一人にさせて｡」

彼の眉が最大と言っていいほど八の字になり､少し哀しそうな目をしながらAの頭を撫でた｡

「さあ､こんな所は出て俺様といこう(ニコ)」

そう言ってルパンは左手を彼女に差し出した｡

Aにとっては何十年も夢見ていたことが､でも諦めていたことが起きた｡

本当にこれが現実なのかは当の本人はわかっていないが､もし夢でも､夢だけでも幸せになりたいからと少女はその泥棒の手をとった｡

「わ､私をここから連れ出してください！！泣」

「了解☆」

Aの暗い瞳に一筋の光が宿ったようだった｡

「俺様の名前はルパン三世だ(ﾆｶｯ)」