10冊目 ページ10
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日曜日。
約束の時刻に待ち合わせ場所である駅前に行くと
そこには既に(人1)の姿があった。
いつもよりしっかりメイクをしていて
髪も毛先だけ緩く巻かれている。
ふわりと揺れる桜色のスカートに
紺色のセーターから覗く指先。
見れば見るほどに違和感だらけで、
見た目が変わるだけでこんなにも印象が変わるものか。
「待たせたか？」
「あ、黛くん…!ううん、さっき来たとこ」
このやり取りってラノベ的には普通逆じゃねぇ？
…それにしても、コイツの隣を俺なんかが歩いて浮かないだろうか。
いや、それ以前に気づかれもしないか。
「行くぞ、本屋」
「…うん」
そして駅の近くにある本屋に行くと
またあの日と同じようにラノベを一冊買ってもらう。
俺たちはまた、束の間だが恋人同士になる。
だから本を買ってもらった後からのこれは、
「遊びに行く」から「デート」という名目に変わるのだ。
とはいえ、
「俺は今すぐ帰って本読んでもいいんだが」
「え、帰るの…？」
思わず本音を口にすると(人1)は悲しそうに俺の服を掴む。
それやる女は二次元でしか見ねぇ。
現実でやる奴が居るんだなと思いながら
俺は、その手を掴むとそのまま歩き出す。
「…だったらどこ行きたいんだよ。
言っとくが俺はデートスポットとか知らねぇからな」
「え、え、あ、えっと、」
テンパんなこっちまでテンパるだろうが。
思わず掴んだ手を離すと、(人1)はまた俺の手にそっと触れた。
「私もわかんない…ゲーセン、とか？」
「…あっそ」
もう一度、今度は手を繋ぐと俺と(人1)はゲーセンへ向かった。
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作者名：由麻 | 作成日時：2024年3月26日 0時
